※稟が女性になったらと言うifの話です。※

~あらすじ~
プリムラの暴走で眠った楓を助けるため記憶世界の中に入り、無事それをすべて解放した稟。(詳しくはReally? Really! をプレイ)
だけど、プリムラの魔力の影響はまだ残っていたのはだれも知らなかった。
そして、ある朝ついにそれが現実となる・・・・・・

ぶっちゃけ、思いつきで書いたネタです。女の稟も良いかなっと。(;^ω^)

そしてその頃の学校では・・・・・
トイレの一件以降でも色々と問題が起きながらもなんとか無事に俺は放課後を迎えていた。
何処へ行っても誰かに見られている感覚を感じて俺の疲労感は既に限界を超えていた。
心身ともに疲れ果てて長い髪を垂らしながら机にうつ伏していた。

「稟くん大丈夫ですか?」
「顔色悪いよ稟くん」
「稟様・・・・」
そんな俺に帰り仕度を済ませた楓、シア、ネリネが心配そうに傍に寄ってきた。
そして、ネリネは何かを思いたったのか急に顔が驚きに変わる。
「もしかして、稟様・・・・魔法の影響が。大変です!お父様に急いで知らせないと!!」
「ち、ちょっと待てネリネ!」
激しく勘違いをして慌てて出て行こうとする、ネリネの腕を掴んでなんとか止める。
「魔法の影響じゃないから・・・・・」
「で、ですが・・」
それでも、心配なのか返事に覇気が無くネリネ以外にも、シア、楓も俺を気遣う様子を見せてた。
俺は頭を掻きながら、ぶっきら棒に言った。
「別に魔法の影響じゃないって。ちょっと慣れない体に疲れただけだ。だから、気にするな」
なるべく心配掛けないように、優しく笑いかけると皆から安堵の溜息が洩れた。
「そうなんですか・・・それなら良いんですけど」
適当に鞄に教科書を詰め込み鞄を閉じ帰り支度を済ませる。
「ほら、俺達も帰えるぞ」
「はい」
「うん」
「はい」
ん?・・・そう言えば、こんなやり取りを楓達とすると何時もなら親衛隊から嫉妬という猛撃があっても良いのに今日はないな。
そう思ってクラスに居る親衛隊の連中を見ると何故か俺からの視線を逸らした。
何だ?・・・・・・
微妙に親衛隊の連中の顔が赤かったような気がするが気のせいか。
妙な違和感を感じ疑問に思ったが理由も思いつかない俺は楓達と一緒に教室を出てゆく。
よもやこれが、この後に起こるある事への予兆とは思いも知らずに。

「なぁー楓。今日の親衛隊の連中なんか可笑しくなかったか」
帰宅途中、俺はどうしても気になった疑問を楓に聞いてみた。
もしかしたら楓なら何か分かるかもしれない。
だけど、楓は微妙な顔をし首を捻るだけだった。
「そう・・・・でしょうか?」
「いや、だって今までは所構わず親衛隊の連中が襲ってきたじゃないか。それが、今日は一度もないし」
そう言われて、楓もピンと来たのか納得した顔になる。
「そう言われればそうですね。・・・・でも、襲われないのは良い事じゃないですか。何時も稟くんが、辛そうに逃げ回ってるのを見るのはとても辛いんですよ」
シアやネリネは楓の言葉に賛成なのかその事には相槌を打った。
「そうだよ。稟くんが何で逃げ回らないといけないのかいっつも疑問だったんだよ!」
「そうです。稟様に害を成すものは全て敵です。稟様さえ許可してくれれば、私が・・・・あとなかもなく全て排除しますのに・・・・」
「うん、私も手伝うよ!」
シアはどこから出しのかパイプ椅子を持って、ネリネは掌に魔法球が出来ていた。
いや、シアさんそれじゃ撲殺ですよ。
「待てい!そこまではしなくて良い!!・・・はぁー分かった気にした俺が悪かった。だから、その物騒な物は仕舞ってくれ」
俺の言葉に残念そうに大人しくしまう二人。
全くこれだけ好かれてるのは嬉しいが、俺の周りの女性は俺限定で沸点が低すぎるのが難点だ。
全く、何時か死人が出ないか心配だよ。

そうして、商店街と家の分岐地点に着くと、楓は足を止めて俺に視線を向け徐に訊ねてきた。
「稟くん。今日の夕ご飯は何が良いですか?」
「え、夕飯か。そうだな・・・・・楓の料理はなんでも旨いからな。俺としてはなんでもOKだが。何か買って行くのか?」
商店街の方に指を指しながら聞くと、楓は嬉しそうに頬を染めて微笑む。
「ええ。稟くんのリクエストがあるなら・・・・・・・・稟くん疲れているようですし何か食べたい物でもとでも思ったんです。ですから」
「そうか・・・・ありがとう楓」
楓の頭を撫でながら俺はお礼を言う。楓はその行為を大人しく受け入れ至福な表情を浮かべていた。
しかし・・・・・
「むー・・・・」
「んー・・・・」
それに反して俺達を不機嫌そうに低くうねり声を上げながら見つめるシアとネリネ。
「ど、どうしたんだ二人とも唸ったりして」
「だって、カエちゃんだけ褒められてずるいっすよ。私だって稟くん為に料理を作ってあげたいのに・・・・・今日は私も作るっす!」
「え?」
「わ、私も作ります!!まだ卵焼きしか出来ないですけど・・・・それでも、稟様の為に頑張ります!!」
「え、え?」
いきなりの急展開に俺の意識は追いついてなかった。
楓も一瞬唖然としてたが、急にクスッと笑う。
「それじゃ、今日はみんなで作りましょうか」
「うん。頑張るっす!それで稟くんに褒めて貰うんだもん!!」
「わ、私もです!!」
え?それが目的ですか?
そして、俺の意志が関係なく話が進み結局今日の夕飯はみんなで作る事になって俺達は商店街に入って行った。
いや、別に嫌じゃないんだけどね。うん。

そうして商店街で買い物を終えて外に出る頃には、あたりは日が暮れ始めて薄暗くなり始めていた。
「いっぱい買ったね」
「そうですね」
「でも、こんなにたくさん・・・・私じゃ全然役に立てそうもないです・・・・」
あまりの食材の多さに、卵焼きしか出来ないネリネは落ち込む。
「大丈夫だよ、リンちゃん。私達が教えるし、ね」
「そうですよ。それにリンさんの料理も、使えるように今日は卵料理中心にしますから」
きゃいきゃいと、今日の献立を話す学園の三代美女の声を耳にしながら俺達は歩いて行く。
そして、家に近づくとちょうど神王と魔王のおじさんがネリネの家から出てきた。
「おや、ずいぶん買ったね。もしかして、今日の夕飯は稟ちゃんの家で食べるのかな?」
俺達が持っている買い物袋を見て魔王のおじさんがそう聞いてきた。
聞かれたネリネは、少し申し訳なさそうに話す。
「あ、ハイ。稟様の家でみんなで一緒に料理をしようと思ってます。ですから今日のお夕飯は・・・・・」
口籠るネリネの頭を優しく撫でて、魔王のおじさんは微笑んで快く了承する。
「うん。いいよ、行ってきなさい。それにちょうど良かったし」
「ちょうど・・良い?」
首を傾げるネリネに、神王のおじさんも魔王のおじさんの言葉に賛同するように言葉を続ける。
「ああ、ちょいと俺達は出かけないと行けなくなったからな。今夜は帰れそうにない」
「お父さんもなの」
「ああ。だから、お前達は今日は稟殿の家にお世話になりな・・・稟殿頼まれてくれるか?」
そう頼んでくる、おじさんたちの申し出に俺は断る理由もなく受け入れる。
「別に俺は良いですよ。楓はどうだ?」
「え、私は稟くんが良かったらそれで。」
俺達の言葉に嬉しそうにするおじさん達。
「そうかい、それはありがたいね。迷惑かけるけど、よろしくね稟ちゃん」
「そんな事はないですけど・・・こんな急に出かけるなんて、何かあったんですか?」
「んー、ちょっとな・・・・ま、稟殿は気にしないでいいぜ。」
「そうだね。それじゃ、帰るのは明日になるから、ネリネちゃん達は稟ちゃんの家で楽しんでくると良いよ」
そう言って去っていくおじさん達を俺達は見送る。
二人が見えなくなると、シア達も買い物袋を俺達に預け一端自分の家へと向かった。
「それじゃ、稟くん。着替えたら、家に行くね」
「稟様、また後でです」
「ああ、後でな・・・・・さて俺達も家に戻るか」
「そうですね・・・あれ?」
「何だ、何かったのか?」
疑問の声を発する楓に釣られて、俺もそっちの方を見るとそこには・・・・・
「じー・・・・・・・」
家の玄関からプリムラがちょこっとだけ顔を出してこっちを覗きこんでいるのが見えた。
なんだか微妙に不機嫌なオーラを感じるが・・・・・
そんなプリムラに近づき、俺達は話をかける。
「ど、どうしたんですか。リムちゃん?」
「・・・・今日シアとネリネが泊まりに来るの?」
「そうだが、何だ嫌だったか?」
「そんな事はない」
そう言うがプリムラの頬は膨らんでおりどう見ても何かある顔をしている。
「だったらなんで、そんな不機嫌な顔をしてるんだよ?」
「別に不機嫌になんてなってない。ただ・・・・」
「ただ?」
「私だけ仲間外れなのが寂いだけ・・・・・」
そう言って俺達の持ってる買い物袋を見て少し落ち込んだ様子を見せるプリムラ。
あーつまり、あれか。俺たちだけで、楽しそうに買い物して話をしてたのが羨ましかったと。
そんなプリムラに慌てて弁解をする楓。
「で、でもリムちゃんは、学年が違うわけですし、いきなり誘うのも悪い気がしてたんですよ。だから決して仲間外れには・・・」
「うん、分ってる」
だけど、その顔は全然寂しそうだ。
しょうがないな・・・
「それなら、今日の夕飯プリムラも一緒に作ったらどうだ?」
俺の言葉にプリムラは目をパチパチする。
「・・・・私も料理を手伝っても良いの?」
「も、もちろんですよ」
「・・・・うん」
楓の言葉に少しは機嫌が直ったのかプリムラの表情は柔らかくなる。
「・・・楓、荷物一つ持つ」
「ええ、ありがとうございます」
楓の持っている買い物袋を一つ受け取り、家の中に入っていく。
こうして見ると、二人は本当に姉妹のようだな。
俺も二人に続き家の中に入る。


そして、私服に着替えてゆっくりしていると。

ピンポーン

「お、来たかな」
楓とプリムラが料理の準備をする頃になると家のチャイムが鳴った。
恐らく二人が来たのだろう。
「あ、私が出ますね」
「いや、俺が出るよ。どうせ料理じゃ俺は何の役にも立たないからな」
準備を中断して玄関に向かおうとする楓を手で制するが楓は顔を曇らせる。
「でも・・・」
「いいから、楓は美味しい夕飯頼むな」
「あ、稟くん」
渋る楓を、そのままに多少強引に俺は玄関先へと向かった。
全く楓は、何時まで経っても変わらないな。俺が何かをしようとすると尽く楓はそれを止めてしまい自分でやろうとするのが楓の悪い癖だ。
だけど、俺の体が変わっても今までと変わらない楓の態度には嬉しかったりするんだけどな。
そして、玄関まで着き扉を開けると私服に着替えたシアとネリネが立っていた。
「お待たせっす、稟くん」
「お待たせです、稟様」
「ああ、いらっしゃい」
脇に除けて中に入るように誘うと二人は家の中に入る。
そして、勝手知ったるなんとやら何度も来ている二人は迷うことなく居間まで足を運んだ。
キッチンを覗くと既に準備をしている楓とプリムラがいた。
「あ、もう料理してるんだ」
「はい、軽くですけどね」
持ってきた袋から自分のエプロンを出して、シアとネリネもキッチンに入る。
俺は特にする事もなく今のソファーに座りながら、適当にTV番組を見る。
「リムちゃんも料理をするんですか?」
「あ、はい。最近はリムちゃんと作る事が多いんですよ。それに、リムちゃん覚えが早くて凄いんですよ」
褒められて恥ずかしいのかプリムラは頬を染めて照れ隠しをしていた。
「・・・・でも、楓には届かない。」
「そ、そうですか」
だけど、包丁を扱うプリムラを見つめているネリネは何所か沈んだ表情をしていた。
それに気づいたプリムラは顔を上げて、ネリネの方を向く。
「何?ネリネ」
「え、あ、いや・・・・リムちゃん結構包丁使うの上手なんですね」
「・・・そう?」
「私なんて卵焼きしか出来ませんから・・・・」
確かに卵焼きじゃ包丁はあまり使わんわな。
まさか、プリムラに抜かれているのがそんなにショックだったのかネリネの背後には哀愁が浮かんでいた。
「だ、大丈夫だよ。リンちゃん、練習すればきっと上手くなるから」
「そうでしょうか・・・?」
「それに料理は愛情だよ。稟くんが好きって気持ちを込めて作ればきっと上手くなるよ。そうだよね、カエちゃん」
そう言って楓を見つめると、楓は肯定するようににっこりと微笑んだ。
「そうですね。私も稟くんに喜んでほしいって気持ちを込めて毎日頑張りましたから。きっと稟くんの事を思えば上手くなれますよ」
「・・・・私も、そう」
「楓さん、リムちゃん・・・・・・」
「そうだよ、愛情は料理の隠し味っす!」
「シアちゃん・・・・・」
三人の言葉で多少元気が出てきたのかネリネは小さく微笑む。
しかし、本人が近くに居るのにそんな事堂々と言われるとこっちが恥ずかしいぞ。
俺はソファーに深くもたれかけながらあえて聞こえてないフリをした。
その後復活した、ネリネと共に4人でワイワイと楽しそうに料理をする風景を眺めがら俺は笑っていた。
その日の夕飯いつもり豪勢でいつもり楽しく食べれた。
これだけの大人数で食べるのもたまには良いもんだよな。


そして、夕飯を食べた後は、みんなで色々な話をした。
学校へ行ってるとゆっくりと話す機会も中々ないからな。
家の事や学校の事。
神界や、魔界の事。
それぞれの子供のころの事。
こうして話していると昔の事を色々思い出してしまう。
シア達とバーベナで八年ぶりに会った時の出来事。
そして、八年前の楓との記憶。
それに光陽学園時代には俺は楓とこんな風に、子供のころの話を笑って話せるなんて思ってなかった。それはバーベナへ入学してからもそうだったが・・・・・これもシア達が来たおかげかも知れないな。
シア達と出会ってから俺の日常はグルリと一転したから。
ま、今のこの状況も十分変わってるけど。

そうして俺達は時計の針が重なるまで話し続けた。
プリムラは既に、疲れて俺の膝の上で静かな吐息をたてながら眠っている。
「あーあ。リムちゃん良いなー。稟くんの膝枕・・・・・」
そんなプリムラに羨ましそうにシアは見つめていた。
楓やネリネまで同じ様な目をしていて思わず苦笑する。
「いや、流石に4人は無理だから・・・」
「うう、残念です。でも・・・もうこんな時間なんですね」
時計を見てそう呟く楓にシアやネリネも頷く。
「そうだね。いつの間にかこんな時間になってたね」
「はい。みんなと居ると毎日が楽しくて、時間が経つのがとっても早いです」
確かに何時までもこんな時間が続けば良いと俺も思っている。
皆がいるこの瞬間がどれだけ幸せで幸福なのか。
だけど、今の俺は本当の俺じゃない。
それでも、この幸せは続くのだろうか・・・・・
「なー・・・・楓、シア、ネリネ。もしさ・・・・・・」

「なんですか稟くん?」
「何稟くん?」
「何ですか稟様?」

俺の呼び声に三人は振り向き、見つめられ俺は思わず出かかった言葉を飲み込んでしまった。
「その・・・な。・・・・・いや、何でもない忘れてくれ」
結局聞こうとした言葉を俺は言えなかった。
『もし俺がこのまま治らなくても一緒に居てくれるか?』・・・・たったそれだけなのに口から出てこない。
(つっ!俺が、弱気になってどうすんだ。・・・・それにずっとこの姿な訳じゃないんだ)
思わず間が悪く感じて俺は目を逸らしてしてしまう。
俺なりの心配をかけさせない為の配慮だった……だけど、そんな俺の反応に楓が何も気づかない訳がなかった。
だって楓は、誰よりも俺の傍に居て誰よりも理解してくれる俺の大切な彼女であり幼馴染であり家族なのだから。

「稟くん・・・・・・・大丈夫ですよ」

「え?な、何がだ。」
何の事か分らずに思わず俺は楓を見つめ聞き返す。だけど、楓は優しく微笑んでいた。
いや、楓だけじゃなくシアやネリネも俺に笑いかけていた。
「稟くん。私は稟くんが好きです。これは、永遠に変わりません。たとえ、稟くんがずっとそのままの姿でも私の気持ちは変わる事はありません。男の子の稟くんが好きなんじゃないんです。何時までも変わらない優しい稟くんが私は大好きなんですよ」
臆面もなくはっきりと楓は自分の気持ちを伝えてきた。
その言葉に俺は、何も反応が出来なかった。
「楓、俺は・・・・・」
なんて答えれば分らない俺に、シアやネリネも俺の手を優しく包みながら自分の気持ちを伝えてきた。
「稟くん無理に言わなくても良いんだよ。私だって稟くんがそのままの姿でも絶対この気持ちは変わらないから。」
「私もです。稟様が望んでくださる限り私達は、絶対稟様の傍を離れるつもりはありませんから。」
「シア、ネリネ・・・・・・・・」
何で分ったんだろう・・・・・とかそんな事を考えるより俺は嬉しさで、なんだか目頭が熱く感じてきた。
「・・・・ありがとう」
たったこれだけの言葉しか出てこない。人間本当にうれしい時は言葉が出ないもんだなっと思う。
だけど、その言葉だけで楓達は俺の気持ちが伝わったように嬉しそうに微笑んでいた。
そして、俺のひざ元で寝ているはずのプリムラも寝言で、
「・・・・・稟・・ずっと・・・一緒」
「ほら、リムちゃんもこう言ってますよ。」
「ああ、そうだな・・・・プリムラもありがとうな」
そうだよな・・・・・別に、深く考えるまでもない。
みんなが、俺自身と一緒に居る事を望んでくれている。
それに対して、疑問をもつなんて彼女たちに失礼だよな。
たとえこのままの姿になったとしてもきっと変わらない。
彼女たちが望み俺がそれを望む限りは・・・・・最初は、戸惑っていた楓達の思いも今では俺にとっては大切な物になっている。
きっと、何時までも変わらずみんなと一緒に入れるだろう。
俺はそう信じる事にした。

そして、その翌日。
早朝に神王と魔王のおじさん達が、やってきて事の詳細を教えてくれた。
今回の原因となった者。
遥か昔にも似たような事があった事。
そして、俺の体はいずれ戻せるという事。
楓達はほっとし安堵した表情になっていた。
しかし、色々準備があるらしくしばらくは直しようがないっと言う事で当分はこの姿のままで過ごす羽目になりそうだった。
不本意ながらも、俺は魔王のおじさんからバーベナの女生徒用の制服を借りる。
楓達に手伝ってもらい着替え終えた俺を見ておじさんは嬉しそうに微笑んでいたが、俺は恥ずかしくて耳まで真っ赤だった。
「やっぱりこのヒラヒラが落ち着かないぞ・・・・」
そう言って、楓達を見ると三人はなんだか惚けた表情で俺を見ていた。
「稟くん素敵です・・・・・」
「稟くん綺麗・・・・・・」
「稟様・・・・・・」
目が星になっている三人に、俺はガクッと肩を落とした。
だめだこりゃ・・・・・・・
だけど、この姿になった事で改めて気づいた事もあった。
だから、結果的にはこの女性の姿になった事は無駄ではなかったかもしれない。
口には言わないが、俺はそう思う事にした。

たまには、女になるのもいいものかもな。

さて、余談になるがこの後、何時ものように学校へ向かうと遠目でも分るぐらい校門の前に親衛隊の連中が並んでいた。
「なんでしょうか?・・・・・・」
首を傾げる楓を横目で見ながら俺は、一時の安息の終わりを感じていた。
(あーやっぱり、儚いの夢ですか・・・・・・)
このあと、親衛隊に追い回されるであろう光景を思うと鬱になる。
しかし、持前の不屈の気力を振り絞り逃げる心構えをした。
だけど、近づくにつれて親衛隊の連中からは何時もの怒りのオーラが出ていない事に気づいた。
それよりも、熱っぽい視線を感じて良く見ると中には女性も混ざっているのも分かった。
何故か何時もと違う雰囲気の親衛隊の連中の視線を感じると俺の背筋はぞわぞわと総毛だった。
何だこの感覚・・・・・・
俺の中の何かが、未だかつてない危険を察し警鐘を鳴らしていた。
そして、目の前まで来ると彼奴等(彼女等)は高らかにこう叫んだ。

「我ら『RTR』女性になった土見稟の麗しさに惚れ込んだ!いや、稟さんを愛でる会!!新たな親衛隊である!!!!」

「・・・・・・・・は?」

俺は間抜けなぐらい口をあんぐりと開ける。
言ってる意味が俺は理解が出来なかった。
楓達も意味が分からず、唖然としている。
そんな俺の肩をポンと誰かに叩かれ振り返るとそこには・・・・・・
「や、稟。その制服似合ってるじゃないか。どうだい、今日の放課後デートでもするかい」
「な、何悪ふざけ言ってるんだ樹・・・・・いやそれよりこれは何だ」
樹の言葉も気になったがあえてスルーし、あり得ない光景を指で指すと樹はメガネを指で上げて淡々と話す。
「何って見ての通りだよ。これらすべて、みんな稟の親衛隊さ」

「・・・・・・・・はい?」

固まる俺に、樹は呑気に感慨していた。
「それにしても・・・・いやはや流石バーべナの生徒だね。まさかこんなに早く新しい親衛隊を結成するなんて。
「樹君・・・・知ってたんですか?」
「もちろんさ、楓ちゃん。稟が昨日学校へ来てから色々耳にしてたからね。知らぬは本人だけって事かな」
「た、楽しそうですね緑葉様」
「たとえ、元が男でも美少女は俺様の財産だからね!美女を敬うのは男として当り前さ」
「あ、あははははは。流石緑葉君というかなんというか・・・・」
「こ、この・・・キモイ事言うな樹!!」
「ぷげらぁ!?」
樹の言葉に寒気を感じた稟は遠慮なく顔面を殴り倒し俺は校舎の中に走り去った。

「稟くん!?」
「稟くん!」
「稟様!」

楓達と新たに出来た親衛隊の声を耳にしながら俺は現実から思いっきり走り去る。
俺には、現実から逃避する事しか出来なかった。
やっぱり女なんかになるんじゃなかった!!
早く男に戻してくれーーーーーーーーーー!!!


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