春の息吹が感じられ暖かい季節になり、一週間に一度の休日をリビングでまったり過ごしていた。
そんな時、家の電話が鳴った。
「ご主人様、れんわを代わりにれてくれないれすか。シルファはちょっと手が手が離せませんから」
「うん。分かった。もしもし河野ですが」
シルファちゃんの変わりに鳴り続ける電話に出ると受話器から元気な声が聞こえてきた。
『あ、貴明♪おはよ~~~☆』
「おはよう珊瑚ちゃん。こんな時間に、電話なんて珍しいね。何かあったの?」
『うん。ちょっと貴明に頼みがあってなー。』
「俺に?」
珊瑚ちゃんの頼み事か・・・・・・・・・・
正直珊瑚ちゃんの頼み事は、『キスをして』だの『抱っこして』だの中々俺の精神衛生上宜しくない事が多いので、少々不安がある。
だからと言って、珊瑚ちゃんの頼みを無暗に断る事も出来ないのも事実。
俺が断るとすっごい悲しい顔して「貴明、うちの事嫌いになったん・・・」とか、言ってくるし、正直あの顔は怒られるよりキツイ。
ま、頼みを聞くとすっごく嬉しい顔されるから、珊瑚ちゃんの頼みを聞くのも悪い事ばかりじゃないんだけどね。
俺って、どうも女の子からのお願いには滅法弱いらしい。
「うん。俺は良いけど・・・頼みって何?」
『うん。実はな・・・・・・』

ごくっ

俺は、何を頼まれてもいいように身を構える。
そして、珊瑚ちゃんの口からその“ワード”が出てきた。

『今日・・・・・花見に行かへん?』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・花見?」
あまりにも普通の頼みで思わず、聞き返してしまった。
いや、普通の頼みで呆然とするって俺ってどうなのよ。
思わず俺が俺自身に突っ込んでしまったが・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、花見か。良いかも知れない。早い所では桜も満開してるって何度かニュースでやってたし。
「良いね。今から行くの?」
『ううん。色々準備もあるから、夕方にしようとおもってん。どうせなら、夕ご飯もそこで食うた方がええと思ってな~。』
「了解。それで俺はどうしたら良いの?俺もそっちに行って何か手伝った方が良いかな?」
『え、貴明も来てくれるんか』
「う、うん。楽しそうだしね」
『やった~~~♪貴明と一緒や』
俺としては、普通に返事しただけなのにどこか惚けた感じの声色を出す珊瑚ちゃん。
『うちが頼む前にゆうてくれるなんて流石貴明や♪優しいなーーだから好きなんやー☆』
こんなことで褒めれても、こそばゆい。
つーか突然好きとか言われると電話越しでも、かなり恥ずかしい。
「じゃ、しっちゃんにも一緒に来てもろうて良い?みんな仲良く準備や~~~☆」
『うん。分ったよ。こっちも、準備出来たら直ぐ行くね。』
「ほなな~~~~☆頼んだでー♪」
と、用件が終えた珊瑚ちゃんは電話を切った。
もしかして珊瑚ちゃんは始めからシルファちゃんを家に呼ぶ為に電話をしてきたのかもしれない。
まさかな・・・・・
それはそうと、どうやってシルファちゃんと一緒に行くかだな。
昔ほどではないとは言え未だ珊瑚ちゃんを会う事に戸惑いを持っているシルファちゃんを連れていくのは骨が折れそうだ。

「れんわられかららったんれすか?」
一段落が付いたのか、電話の主を聞いてくるシルファちゃんに少し躊躇しながらも素直に告げた。
「珊瑚ちゃんからだよ」
「さ、珊瑚様から・・・・そ、そうれすか。じゃし、シルファは掃除にもろりますね」
「待って、シルファちゃん。」
「ぴゃ!?!」
何も聞かずに去ろうとするシルファちゃんの手を握りその場に留める。
「珊瑚ちゃんが、一緒に花見に行かないかって」
「そ、そうれすか。シルファは家に居ますから、ご、ご主人様は行ってくると良いれすよ」
「ああ。だから、シルファちゃんも珊瑚ちゃんの家に一緒に行くよね?」
もう一度聞くと、シルファちゃんはフルフルと勢いよく首を振った。
「どうして行かないの?」
「うー・・・・らって・・・・・」
その顔からは不安や恐れが見え隠れしていた。
「まだ、珊瑚ちゃんの事怖い?」
「・・・・・・・・」
何も言わないが、不安な顔から察するにまだ珊瑚ちゃんに対しての蟠りがシルファちゃんの中には有るのだろう。
珊瑚ちゃんは一切気にしてないと言うのに。

くしゃ

俺は出来るだけ優しく、シルファちゃんの頭を撫でる。
「大丈夫だよ、シルファちゃん。珊瑚ちゃんはシルファちゃんの事大好きだから。」
「・・・・・」
「ね?一緒に行こう。俺もシルファちゃんと一緒に行きたいからさ」
「ううっ・・・・・・・・はいれす。」
頬を赤く染めながらも、そう小さく頷いた。
「じゃ支度していこっか。珊瑚ちゃん達も待ってるだろうしね。」
シルファちゃんも、珊瑚ちゃんの事大好きなはずなのまだ素直になれない。
どうにか、この問題も解決したい所だが・・・・早々簡単には行かないよな。
それだけシルファちゃんのコンプレックスは根強く珊瑚ちゃんの存在がデカイと言う事だろう。
身支度の為に自室に戻ろうとすると、袖を掴まれ後ろを振り返るとシルファちゃんが俺の服を掴んでいた。
「どうしたの?シルファちゃん。」
「・・・・・・・・」
「?」
恥ずかしそうに頬を染め俯きながら、時折俺の顔をちらちらを見つめてくる。
「うれ・・・・」
「腕?」
「うれ組んれくれほしいれす・・・・」
本当、こうして見るとお願いする時の顔は珊瑚ちゃんそっくりだなーと思うよ。
可愛い所とかね。

そうして身仕度を終えた俺達は、珊瑚ちゃんの住むマンションまで足を運んでいった。
「相変わらずでかいよな。このマンション。」
つい、口に出てしまうほどでかい。
高層マンションに該当するにも関わらず家賃も全部、珊瑚ちゃんの稼いだお金で賄っていると言うのが驚きな事実だろう。
そして、ここまで来て緊張がピークに来たのかシルファちゃんはより一層俺の腕を強く組んできた。
正直あんまり強く掴まれるとシルファちゃんの柔らかい感触が腕に感じて心身共にヤバいくなるんだけど・・・・・・・・ここは男の我慢の見せ所だと思います。
中に入り珊瑚ちゃんの部屋の前まで来ると、シルファちゃんの足は目に見えて分かるぐらい震えていた。
そんなシルファちゃんを気遣いながら、ゆっくりとチャイムを押すと・・・・

がちゃ!

「ダーリン遅いーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

突然扉が勢いよく開き俺に突撃してくる、赤い物体があった。
衝突の衝撃で胃液が出そうになるが、なんとか飲み込む。
「ダーリン、どんだけ時間かかってるの!珊瑚ちゃんが貴明が来るって言うから、すっごく楽しみに待ってたのに全然来ないんだもん!!遅いよ~~~!!!」
俺の胸に抱きつきならが胸をぽかぽか叩く。
突然の出来事で、俺とシルファちゃんは唖然としてたが俺の方がいち早く立ち直り、突進してきた赤い物体・・・もといミルファちゃんに返答をした。
「いや、遅いってまだ珊瑚ちゃんから電話があって30分ぐらいしか経ってない筈だけど。」
「そんなの遅過ぎだよ。私は直ぐに会いたかったのに、ダーリンのバカバカバカ」
「そうは言われても・・・・・・・そう思ってくれるのは嬉しいけど俺にも色々と都合があるしね。」
「都合って何?ダーリンは私に会いたくなかったの」
「そんな事はないけどさ」
上手い言い訳を考えながらシルファちゃんの方に視線を向けるとミルファちゃんはやっと俺の腕に組んでいるシルファちゃんの存在に気づいた。
「あ、ヒッキー妹居たんだ。」

ビキッ!

何故かこの一言でこの場の空気に亀裂が入った気がした。
見た目で分かるぐらいシルファちゃんの表情が冷たく引きつった笑顔をしていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・居ちゃらめれすか?」
「うん。」

ビキビキッ!!!

即答するミルファちゃんにさらに二人の間に亀裂が入った。
二度のミルファちゃんの率直の言葉でかなり険悪なムードを漂わせている二人共どこか不敵な微笑みを浮かべていた。
正直・・・・かなり怖い。
て言うかミルファちゃんこれ以上、シルファちゃんを挑発しないでほしい。
怒りを表すかのように組まれてままの腕が血が止まるぐらいの力で掴まれ生きた心地がしない。
「それよりも、なんでシルファがダーリンと腕を組んで来てるの?どうせ遅れた理由もシルファが、珊瑚ちゃんに会うのが怖くて渋ったからでしょ?嫌なら別に来なくても良いのに・・・・・私はダーリンだけ来てくれれば良かったんだけどな~~。」
明らかな挑発的なミルファちゃんの発言にシルファちゃんは怒りのオーラで髪を逆立てながら、ぐっと睨み返した。
「なによ?ひっきー。」
「おぽんちめいろ。」
「は?」
そんな、視線すらも真っ向から受けてたつミルファちゃん。
先ほどからの素直なミルファちゃんの言葉で、怒りが頂点に立ったシルファちゃんの我慢は限界に達していた。
素直って良い事のはずなのにな・・・・・・・・・・・・・
「さっきから、らまって聞いてれば言いたい事いって何様れすか!」
「なによどうせ本当の事でしょう!私達の生みの親なのに怖がるなんてばっかじゃないの!」
「れかチチしか能がない、ミルミルには分らないれす!」
「この胸はダーリンが大好きな胸なんだもん!!バカにするんじゃないわよ!!!」
「し、シルファの胸もご主人さまはらい好きって言ってくれたれす!!!」
「私だって、この前学校で・・・・」

デットヒートする二人の発言にはかなり危険なワードが入っていた。
ほとんどが俺に関する事でこう大声で叫ばれると、正直ここに来れなくなるかもしれない。
流石にそれは勘弁したい俺は勇気を振り絞り二人を止めようと試みるが・・・・

「あ、あのー二人とも喧嘩は止めようよ。ね?」

気の弱い感じだがこれが俺の精一杯だ。だって、凄く怖いんだもん。
だがそんな俺の勇気など怒り狂った二人の前ではミジンコ同然で、
「ダーリンは・・・・」
「ご主人さまは・・・・」

「「だ(ら)まってて!!!!」」

「はい・・・すみません・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
二人の怒りによって一喝されてしまった。
良いんだー。どーせ俺はヘッキーさー。
二人の眼光に睨まれて、完全に意志消沈した俺はなにも出来ず暫くそのまま立ち尽くしていた。
どうにか止めようと試行錯誤するが結局なにも出来ずに俺は情けなく二人を玄関に残し一人で珊瑚ちゃんの部屋に入る事を余儀なくされた。



「こんばんわ・・・・」
「貴明さん、いらっしゃいませ」
「相変わらず、貴明がくると騒がしくなるなー。」
「あー貴明やー☆こっち来て、一緒にTV見よ♪」
玄関先の出来事はここまで届いてたのか三人ともそれぞれの反応で俺を出迎えてくれる。
普通に出迎えがあるのはこんなにも嬉しい事なのか・・・・・俺の背中から聞こえる、騒動を背中で感じながらもしみじみ思う。
俺は、珊瑚ちゃんの座るソファーまで行って隣に座り胡坐をかいた。
「はぁ~~~~・・・・」
「お疲れ様です」
見るからに疲労している俺に対して、お茶を出してくれるイルファさんの優しさに思わず涙が浮かんだ。
「あ、ありがとう、イルファさん。」
出されたお茶を有り難く貰う。
あー落ち着く。
最初の頃は、イルファさんも喧嘩を止めていたがさすがに来るたんびにこうなるので、最近は若干諦め気味で二人の喧嘩はある程度はスルーしてるようだった。
「本当にごめんなさい。妹達が毎度ご迷惑をかけて。」
「いや、迷惑ってほどじゃないよ、うん。」
申し訳なさそうに謝るイルファさんに俺は大丈夫と答える。
どこか引きっつてる顔で言っても説得力無いよな、俺。
「貴明さんは優しすぎますよ・・・・もう少し二人に対してはっきり言っても良いと思いますよ」
少し呆れた感じで言ってるイルファさんの気持ちは分かるけど、二人は俺の事を好いてやってる事は分かっているしあまりきつく言う事はどうしても躊躇われるのだ。
隣に居る珊瑚ちゃんも俺を心配そうな顔で見つめてくる。
「貴明・・・・大丈夫?」
「うん。大丈夫だよ。ま・・・・いつもの事だしね。」
「ふん、はっきりせん貴明が悪いんやろ。自業自得やで。」
何所かむすっとしてる瑠璃ちゃんだったが、ちゃっかり俺の隣に来て座ってくるのは偶然じゃないのだろうか。
「瑠璃ちゃんも素直やないなー。貴明が来るって聞いたら、みっちゃんと一緒に喜んでたのに。」
珊瑚ちゃんの爆弾発言に耳まで真っ赤にした瑠璃ちゃんは慌てて弁解を始めた。
「さ、さんちゃん!?何言うの~~!うち別に喜んでへんよー!!」
「あらそうなんですか?貴明さんが、来るまでずーと時計を気にしてた様ですが?」
「い、イルファ~~~・・・・」
両方からの言葉で逃げ場を失った瑠璃ちゃんは下手な反論も出来なくなり、怨めしそうにイルファさんを睨んだままれ黙ってしまった。
イルファさんは口に手を当てて『ホホホホッ』と、嬉しそうに笑っている。
最近のイルファさんは、照れ隠しで反論する瑠璃ちゃんを見るのが楽しいらしいな。

「ま、なんだな。もしそうそれなら、俺は嬉しいよ。俺も瑠璃ちゃんに会うのは楽しみだったし。」
「た、貴明!?」
俺の唐突の言葉に、瑠璃ちゃんの頬は更にさらに赤くなってしまった。
段々恥ずかしさに耐えれなくなったのか、俺の腕を掴み顔を隠してしまう。
こうゆう仕草は本当可愛いよな、瑠璃ちゃんって。
恥ずかしがる瑠璃ちゃんの頭を空いてる手で撫でながらそう思う。
しかし、大体瑠璃ちゃんが機嫌が良くなると反比例して悪くなるのが・・・
「うー・・・えーなー瑠璃ちゃん。貴明ー、なんかいっつも瑠璃ちゃんだけに特別やさしない?」
頬を膨らませながら、俺に不満をぶつけてくる珊瑚ちゃんだ。
別に俺は、瑠璃ちゃんだけ特別にしてるわけではないけど、意地っぱりな瑠璃ちゃんにはどうしても普段よりも構ってしまうかもしれない。
「そんな事はないと思うけど・・・・・」
「今日貴明呼んだの、うちなのに・・・・・・貴明なんか知らん!」
珊瑚ちゃんは、拗ねてプイっと横を向いてしまう。
「ごめんね、珊瑚ちゃん。そんなつもりじゃなかったんだけど。・・・・機嫌なおして、ね?」
片手は瑠璃ちゃんに掴まれているので空いてる手でだけで御免のポーズをする。
横目でちらっとこちらを見てくれるが、まだ機嫌が収まらないのか頬はぷくーと膨らんだままだ。
うー、仕方がないっか・・・・珊瑚ちゃん達とはそれなりに付き合いは長いのでこうゆう時はどうしたら良いのは大体は分ってるつもりである。

「珊瑚ちゃん。」
「あ・・」
珊瑚ちゃんの肩に手を載せ、抱き寄せる。
俺の突然の行動に目をパチクリしながら呆然とこちらを見ていたが、俺が笑顔で抱き返すとむくれた顔から段々笑顔に変わっていった。
「しゃないなー・・・・ゆるしてあげるよ、貴明~。」
そう言って、今度は珊瑚ちゃんの方から俺を強く抱き締めてくる。
「うん、ありがとう・・・珊瑚ちゃん。」
俺も抱き締める力を強めて珊瑚ちゃんに答える。
「あらあら、二人とも羨ましいです・・・・貴明さん私には何もしてくれないのですか?」
「え?何を言ってるの」
「瑠璃様珊瑚様だけなんてずるいです。私にも何かご褒美下さい」
ご褒美と言われても・・・・・・さっきまで傍観してた筈のイルファさんの突然の要求に戸惑う俺。
どこか顔に含みがかかってる気がするのは気のせいだろうか。
だけどイルファさんになにかしようにも、俺の両手は塞がってる状態で何もできようがなかった。
もしこれで、手をほどいてイルファさんに何かしようものなら・・・・・・その先は双子の小さな姫様のお怒りを買うだけだろう。
心中を察しているのかイルファさんはどこか意地悪な顔をしてソファーに座る俺の後ろに回った。
「じゃ、わたしはこっちで我慢しますね。」
と、言って首から腕を伸ばし抱き付いてきた。
肩に感じるイルファさんの胸の感触と、横を向けば唇を重ねてしまう程に近い。
三人の柔らかい感触に、ドキドキしながらも断れず甘んじて受けていると、急に後ろから殺気を感じて俺の体には冷たい汗が湧きでてきた。

「ダーリン~~・・・・・」
「ご主人さま~・・・・」
何所か地獄の奥から聞こえる鬼の如きうめき声を思わせる二人。
正直その声だけで俺は、膝がガクガクしてきた。
さっきまで玄関先で、喧嘩してた二人なのだがどうやらやっと俺が居ないのをやっと気づいたらしく部屋の中に戻ってきたらしい。
「あら、二人とももう良いのですか?何なら、ずーとでも喧嘩してても良いですよ~。」
抱き締める力を強めながら見せつける様に言うイルファさんに二人は反論しようとするが続けて告げられた言葉にそのまま押し黙ってしまう。
「大切なご主人さまを放って喧嘩してるダメダメなメイドロボなんて、何も言う権利はありませんよ。それが、嫌ならメイドとしての仕事をしなさい。」
二人を宥める様に言う。
「だってー・・・・」
「ミルミルが先に・・・・」

「なにか言いまして。」

有無を言わさないイルファさんの言葉に圧倒され人は同時に声を揃えて反応をした。
「「いいえ!なんで(れ)もありません!」」
こうしてみてると案外二人は性格が違うだけで根っこの部分では一緒なんじゃないかと思える。
二人は渋々キッチンに戻って、作業をしようとするが、
「じゃ、私は続きを・・・・」

「「あんたもこっちで(れ)、作業するの!!」」

「しゅん。残念です。もう少し貴明さんの温もりを感じたかったのに・・・・・・・」
流石にこれには二人からダメ出しをくらって、キッチンに戻り作業するイルファさん。
本当どこまで本気なのかわからない人だ。



「こら!ひっきー妹、人の食材勝手に取らないでよ!!」
「ふん。ちんたら、作業してるのが悪いのれすよー。」
「きー!!なら、そのお肉は私がもらった!!」
「あー、なにするれすか!?それが、無いと料理がれきないれす!!!」
「ふふふん。余所見してるのが、悪いんだもん~。」
「こ、このおぽんち・・・・」
「良い加減にしなさい!二人とも!!」

ぱこっ!!

「はぅ!?」
「ひゃぅ!?」

少しは、順調に進むかと思ったがやはり喧嘩の絶えない二人。
俺が原因な手前、肝心な所で事態を収拾してくれるイルファさんには本当頭が上がらないな。

~End~





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