私には兄がいる。
バカで鈍感でどうしようもない奴で、あの日からずっとずっと嫌いだった。
そう思いこもうと、自分に言い聞かせて……それでも、本当は今でも守って貰える事に私は嬉しかった。
もう絶対に誰にも渡さない。
渡したくない。
どんな事をしても……だから、私は。

布の擦れる音が聞こえてくる。
虫も寝るような時間……辺りは暗闇と静寂が支配していた。
夢か現実か分からない感覚の中、体躯を舐め割らすように触れる誰かを俺は確かに感じていた。
「ぅ……あ」
体に走る妙な感覚に自然と声を発するが、それもくぐもり上手く出せなかった。
まるで金縛りにあったかのように体も動かない。
それでも体に触れる感覚だけはいやにはっきりと感じていた。
ベットのスプリングラーがギシギシと軋み、体にかけてあった筈の毛布が退かされ肌寒い風が体を撫でる。
「……あはっ」
囁くような小さな笑い声が耳に届く。
まるで悪戯を画策する子供のように楽しげな声だった。
「馬鹿面しながら、よく眠ってる。薬はちゃんと効いてるみたいね」
何、薬だと?
薬って何の事だ。
朦朧とする思考では思い出す事も出来ず、身に覚えのない事に俺は不安だけが募った。
俺の不安など知る由もない相手は容赦なく足から徐々に上に弄るように触れてきた。
そして、俺の敏感な所…股間に手が触れれた時、体に電流が走った。
「っ!?…くぅ……」
「凄いどんどん固くなってる」
相手は獲物を見つけたのか、嬉々として俺のをズボン越しに執拗に触れてきた。
控えめなタッチにもどかしさと共に更なる快楽を求め徐々に固く膨らむ。
「あはは、これじゃ本当の変態じゃーん。妹に触られて喜んでいるなんて……本当に変態。このどスケベ兄貴」
な…に?
妹だと……
その単語に俺の心の中にはある人物の顔が浮かび戸惑いが生まれ、反射的に相手を退かそうとした。
だけど、相変わらず体は動かずそれも叶わなかった。
懸命に、試みるが結果は指を動かす程度で芳しくなかった。
どうしたってんだ。
なんで俺の体は動かないんだよ!
まるで魘されたかのような声を上げ、小刻みな動きを繰り返す俺を見て相手はある考えが浮かび辿りついたようだ。
「何?もしかして足りないの。しょうがないわね……今日は特別にもっといい事してあげるわよ」
ち、違う。や、やめろって言ってんだよ!!
制止の声も満足に口にする事も叶わず無情にもズボンとパンツを下され醜悪の根源を外気に曝け出してしまった。
瞬間、股間に感じる滑っとした感触に今までの最大級の快楽が俺の体を走った。
くちゅくちゅと厭らしい音が辺りに木霊し卑猥な空気を醸し出す。
目も満足に開けられない俺には何をされてるのか一切分からず、ただ断言できるのは感じた事がないぐらいの快楽を与えられていると言う事だけだった。
得も言えない感覚に、俺は喜びよりも不安の方が勝り相手に懇願をした。
「ぅ…あ…っ、や……ろ」
しかし、相変わらず呂律の回らない口では途切れ途切れでしか言葉に出来ず相手には全く聞こえていなかった。
そして、相変わらず遠慮もなくづけづけと人の心を抉る容赦のない蔑みの台詞をこいつは吐き続けていた。
「ちゅ、くちゅ…じゅ。凄い味、臭くてくらくらする。あんたちゃんと洗ってるの?キモ……」
話の通じない相手に俺は心の中で悪態をつきながらも、重い瞼を強引にゆっくりと開きぼやけた視界に茶色の髪と恍惚とした表情で嬉しそうに頬張る姿が見えてきた。
その容姿に、先程の妹と言う言葉に、棘のある言葉に、俺にはあのくそ生意気な妹の姿にしか見えなかった。
まさかと思いつつも、妹に奉仕されている現状に戸惑いと背徳感に支配され俺の快楽は何故かドクンと血がめぐり肉棒が震えた。
「ぐちゅ…ぴちゃ。ぴくぴくして来た…もう出るのね。いいわ、出しなさいよ、妹の口に一杯、受け止めて上げるから。あんたの汚い精液を」
俺の気持ちの高まりに反応するかのように、激しさを増す行為。
それだけはしたくない!
そう強く思うが、それよりも高ぶる快楽と押し寄せてくる射精感の方が遥かに高く抑える事が出来なかった。
くっ、ダメだ………もう出る!!
「ぅ…ぐっ!」
「ん、ん!!……んぶっ、ふぅん…ふっ、ん。ん!!!」
俺には止めれる術は無く、欲望が白濁液となって大量に迸った。
妹の小さな唇を白く汚す姿を見て、俺は酷く興奮をした。

「うわぁ!?」
思わず大声を上げ、飛び起きた。
荒い息と激しい動機が止まらなかった。
「はぁはぁ、ここは俺の部屋か?」
ゆっくりと辺りを見渡すと、ここは何時もの見慣れた部屋だった。
そこには異変を感じるものなど何もなく至って平凡。
俺は安堵の溜息を吐いた。
「はぁ~~~……夢かよ」
全くとんでもない夢を………“また”見てしまった。
そう、“また”なんだよ。
この夢を見るようになったのは一度や二度じゃない。
うろ覚えで正確な数は覚えていないが、かれこれ一カ月前ぐらいから見始めている。
最初の頃は、夢精でもしてるんじゃないかとかなり焦ったが俺の肉棒は不自然なぐらいに垂れさがっていた。
そして、この夢を見た後は決まって妙な疲労感を感じている。
それに、あれだけの卑猥な夢にも関わらず悶々としてないのも可笑しい。
むしろ、自慰行為をした後のようにすっきりしているのだ。
はっきり言って良く分からない……ま、この年で夢精してるよりは遥かにマシだろうがなんだか釈然としなかった。
「…ま、考えてもしょうがないか。取りあえず起きるか」
問題を後回しにし考える事を諦めた俺は学校へ行く為の支度を始めた。
制服に着替え、洗面所で寝癖を確認しリビングに入るとそこには朝食の準備をするお袋と桐乃がいた。
何の事はねー何時もの光景だ。
親父はとっくに仕事に向かっていないのは当たり前。
お袋がキッチンに居るのも変じゃねー。
ああ、桐乃だって学校があるんだ……ここに居るのは可笑しいわけがない。
「何、こっち見てるのよ。チョーキモイんだけど」
「あ、ああ。わりー」
なのに、俺は桐乃の顔を直視出来なかった。
あんな卑猥な夢を見た事への罪悪感かそれとも羞恥心か分からない。
ただ、桐乃を見ると心の中から奇妙な気持ちが湧き体が妙に熱い。
まともに目を合わす事すら出来ずに視線をわざと逸らしたまま俺は自分の席に着いた。
「おはよう京介。何か大きな声が聞こえたけどどうしたの」
「あ、いや。何もない。ちょっと変な夢を見ただけだから」
「そう、何時も遅くまで起きてるようだけど貴方は今年受験なんだから、あんまり無理をして体を壊さないようにね」
「分かってるよ」
くすりと気遣いの笑みを浮かべてくるお袋に感謝しつつ、用意されたご飯を口にする。
「私もう学校行くから」
「ええ、いってらっしゃい」
席を立ちあがり、お袋にそう告げる桐乃の言葉を耳にしながら俺は黙々とトーストを咥える。
隣の席から桐乃の視線を感じていたが俺はあえて気づかないふりをし無視をしていた。
「…行ってきます」
何も言わないまま桐乃はリビングから出て行き、玄関の重い扉の音が聞こえて俺は何故か妙な安堵感を感じていた。
別に桐乃に対して疚しい事など何もしてないと言うのに……あの夢のせいだろうか。
最近の俺は可笑しい。
微妙な雰囲気の俺と桐乃を見てお袋は訝しげな目を向けてきた。
「何、京介。貴方また桐乃と喧嘩でもしたの」
「い、いや別にそう言う訳じゃないけど……」
「どうせ、貴方が何かしたんでしょう。お兄ちゃんなんだから、謝っておきなさいよ」
何でおれが悪い前提になってるのだろうか?
この家はちょっと桐乃に贔屓になり過ぎではないかと思うぞ。
だが…確かにこのままじゃ良くないよな。


何時ものように麻奈美と合流した俺は重い足取りで学校へと向かっていた。
他愛のない話をしつつ、暫く我慢をしていたが麻奈美との会話で気が緩み溜まらず深いため息を吐いてしまっていた。
「はぁ~~~」
「どうしたのきょうちゃん」
「あ、悪い」
「別に良いけど、何かあったの。ちょっと顔に疲れが出てるよ」
流石、幼馴染。
気づいていたか。
ここは言うべきかどうか迷う所だった。
流石に“妹に夜這される夢を見るんだけど、どうだ?”なんて言える筈もない。
「いや、なんだな……」
「ん?」
「ちょっと変な夢を見てな。それも何回も」
「変な夢って…どんなの」
「それは…ちょっと覚えてない」
「そうなんだ…残念。私が出てたら嬉しいなって思ったんだけど」
「は?」
「な、何でもないよ。うん、何でもない」
妙に慌てる麻奈美に俺は訝しげな目で見つめる。
「と、取りあえずきょうちゃんはその夢に悩まされてるんだよね」
「そうだな。毎日ではないが、ちょっと体もだるくなるしどうにかしたい所が本音だな」
「そうだね。夢って無意識に本人が何気なく思ってる願望が出てくる事もあるらしいよ。もしかしたらきょうちゃんの叶えたい事が夢に出てるんじゃないかな?」
麻奈美の言葉に俺は耳を疑った。
願望……だと?
俺と桐乃が肉体的関係になるのが俺の願望………は、はは。馬鹿じゃねーか。
そんな事ある訳ねーっての。
だけど、夢とは思えないあのリアルな快楽と見た事がない淫靡な桐乃の雰囲気に抗えない何かで魅了されているのは確かだった。
本当に俺はそう望んでいるのか。
………
……

それから数日、度々訪れる桐乃との淫夢に苦悩しながら俺の心は少しづつ確かに浸食されていくのを感じていた。
まるで光が闇の飲まれるように、徐々に徐々に俺を蝕む。
そしてもう一つ俺の中で確実に変化する感情があった。
それは、桐乃自身に対しての俺の気持ちだ。
前まではくそ生意気な妹程度しか思ってなかったのが今では時折桐乃が“女”に見えてしまっていた。
細い項。
短パンからから覗く足。
未成熟ながらも曲線を描く体。
馬鹿な…と否定しながらも俺は確実に、自分の中で劣情が募っていくのが感じていた。
だが、俺はそれでも必死に隠し通す事を心に強く刻む。
兄貴が妹に邪な感情を抱くなどゲームの中だけの事…現実にしようものなら決して許される事ではないだろう。

そして、ある日の深夜出の自室……
「ちょっと、聞いてる」
「あ?」
ふと聞こえた桐乃の声に我に返る。
「手が止まってる」
「あ、ああ。悪い」
桐乃と一緒にエロゲーをやると言う傍から見たら異常な光景。
一人ではプレイなんぞしない俺の監視と言う名目で桐乃はたまに俺の部屋に来ている。
以前ならば問題ないだろうが今の心境でこの状況はちょっとまずい。
狭い部屋で二人きりだししかも、既に日付は変わり静寂を辺りが包む親もとっくに眠っている深夜の時間帯だ。
大声を出すような事をしなければ、何をしても誰にもばれないだろう。
だからこそ、こんな時間に隠れるようにエロゲーをしている訳だが………机で、ノーパソでゲームをプレイする俺はベットに腰掛け漫画を読む桐乃をそっと覗いた。
露出度が高い薄いキャミソールとミニのスカートの格好では、はっきり言えば男を誘ってる風に思えた。
そして俺の視線に気づいたのか、顔を上げ視線を合わすとキッと強い眼差しで睨んできた。
「また止まってる。やる気あるの?あんたにはプレイして貰うゲームが残ってるんだから、悠長にやってるんじゃないつーの。本当、どんくさい男。馬鹿、死ね」
「う、うっせーな!休憩だよ休憩。それぐらいは良いだろうが」
「ふん。さっさとしなさいよ、馬鹿兄貴」
たく、何だよ…可愛くない奴だな。
あの夢のように従順な性格なら、もっと可愛い………はっ!?俺は何を考えているんだ!!
あれは夢だろう!夢!!
変な気を起こすな、高坂京介!!
湧きたつ劣情を振り払うべく俺は渇いた喉を桐乃が用意した飲み物で潤した。
ふう……少しは、落ちつこうぜ。
しっかし、桐乃が飲み物を用意するなんてどう言う風の吹き回しなんだろうな。
以前までは、そんな気を使う事なんてしなかったくせに最近からだよなー。桐乃が飲み物を持ってくるようになったのは。
何時もは、エロゲーをちゃんとプレイしてるか見にくるだけなのによ………ん?ちょっと、待て。
確かあの夢を見るようになったのは………そこである事に違和感を感じた。
そうだ!桐乃が飲み物を持ってくるようになってからじゃないか?あの夢を見るようになったのは…それにゲームを確かにしていた筈なのに俺には何時もその後の記憶が曖昧だったのを思いだした。
夜更かししていて寝ぼけていただけだろうと特に気にしてなかったが、これだけ立て続けに起きれば明らかに可笑しい。
俺は一体何時寝たんだ?
ベットへはどうやって行ったんだ?
黒猫じゃあるまいしベットの上でパソコンを触る事など俺には一度もない。
にも関わらず気が付けば俺はベットに横になっていた。
これは絶対変だろう。
幾ら寝ぼけていたとして、これだけ記憶が乏しいのは不自然だ。
震える声で、押し寄せる不安を感じながら俺は妹の名前を呼んだ。
「き、桐乃。お前……」
「何よ」
「俺に何を……し……たの…」
力が抜け始めた俺の体は重く、沈む感覚に流されるまま意識もそこで途切れてしまった。

「ん……ここは」
目が覚めると背中に感じるのはふっくらとした柔らかい感触。
視界に映るのも見慣れた天井。
起き上がろうと試みるが俺の体はギシッと軋むだけで動く事が出来なかった。
まさかまた夢の中かと思ったが、今度は体が動き意識ははっきりしている。
そう、どうやら俺の体は自分のベットに括りつけられた状態で身動きがとれないだけなようだった。
「起きた」
視界にゆっくりと入ってきた桐乃は妙な笑みを浮かべ俺を見つめていた。
「桐乃……どう言うつもりだ」
「………」
「答えろ、桐乃。こんな事して、一体俺に何をするつもりなんだ」
もう一度聞く。
すると桐乃はにやりと微笑みある物をポケットから出してきた。
「ふふっ、これなーんだ」
手に持つのは数枚の写真。
遠く一瞬理解する事が出来なかった目を凝らし見つめると映っている光景を目の当たりにして俺は血の気が引くのが感じた。
それはまさしく俺の見ていた夢の光景そのものが映っていた。
「な、なんで桐乃がこんな物持ってるんだ」
「何でって、馬鹿な兄貴でも分からない」
あれが夢ではなく現実なのは桐乃の写真が証明していた。
そして、桐乃自身が起こしている事も。
「やっぱりお前が……どうして」
「どうして?そんなの決まってるじゃない……あんたが、一体誰のものか再認識させるためよ」
「な、何だと?」
「ずっとずっと我慢してけど、もう限界。地味子に取られたままって言うのも癪だしそれに最近黒と沙織とも仲が良いのも気に入らない」
「なっ!」
「あやせや加奈子とも会ってるみたいだしね」
「あ、あれはあやせが頼んで来ただけだ。俺からじゃない」
「それでも会ってる事には変わらないじゃない。何、勝手に私の友達に手を出してるのよ、この変態」
強い怒りを含めた眼差しで見つめられ俺は黙ってしまう。
あやせと加奈子の事は桐乃の思い過しだが、逆に黒猫と沙織に関しては否定しきれない点が多いのも事実だった。
俺から誘う事も少なくは無いからだ。
「べ、別に手なんか出してねーよ。それに仮に出してたとしてお前に一体何の関係があんだよ」
「……」
「良いから、早く縄を解けって」
「うるさい!もう良い。あんたがそんな事言うならもう容赦しないんだから」
投げ捨てるように告げた桐乃はそのまま俺のズボン越しに股間に手を這わした。
何度も感じた感覚に俺の体はビクリと震えた。
「ちょっ!?おま、な、何をする」
「何って決まってるでしょう。こうするのよ」
薄い布越しの手淫に俺のモノは熱く固さが簡単に増していく。
まるで桐乃の行為を喜んでいるかのように感じる刺激にビクビクと震えていた。
「や、止めろ桐乃!こんな事して親にばれたら終わるぞ」
「良いじゃない。ばれても私は全然構わないわよ。そうすればあんたは妹に欲情する変態兄貴として破滅するし、地味子も黒もあんたから離れるでしょうね……ふふっ、皆居なくなれば良いのよ。あんたに近寄る女なんて」
夢で見たのと同じ様な陶酔した声色で俺を見つめていた。
現実に感じる桐乃の奇行…虚ろな視線、不敵に浮かべる笑みに俺は少しだけ背筋に寒気が走った。
その異常な雰囲気の中でも刺激を続けられたペニスはズボンを押し上げるほどに膨張していた。
「なんだかんだいってもあんたのこれ。固くなってるわよ。善人ぶるのは止めて素直になったら?」
「っ!?ば、馬鹿言え」
目の前の現実に目を当てる事も出来ずに俺は視線を逸らした。
その態度が気に入らないのか、桐乃の行為は更に激しさを増す。
ズボンを脱がし、いきり立つペニスを手で包みこみ優しく時には激しく絶妙なタイミングで刺激を与え続ける。
我慢しようと必死なのに体が言う事を効かずに純粋な快楽だけを感じていた。
「なんでこんなに……」
「ばーか。あんたの気持ちいい所なんてお見通しだっつーの、私の事厭らしい目で見てた事はバレバレよ。自分の欲望のままに犯して滅茶苦茶にしたいって思ってたでしょう。素直になりなさいよ。そうすれば………私は」
言い返せなかった。
確かに桐乃に邪な感情を持ち始めていたのは間違えようのない事実。
視線を逸らし黙認する俺に桐乃は満足そうに微笑んでいた。
「あはっ、こっちの兄貴は素直よね。こんなに大きくして……気持ち悪い。どうして欲しいのかはっきり言ってみてよ、ねぇ」
「……」
「言わないと大声上げて親を呼ぶわよ。それでも良いの?」
「……っ。さ、さっきみたいに手で擦ってくれ」
「こうね。後はないの」
「くぅ。後は……し、舌で舐めてくれ」
俺の言う通りに舌を伸ばし、ゆっくりとペニスに近づき触れた。
ざらっとた感触と生温かい舌の刺激にビクリと体が震えた。
亀頭を舐め垂れる唾液が竿の部分を伝い徐々に汚してゆく。
「ふっ…ん、ちゅ……どう、気持ちいい?」
舌への行為をしながらも手淫での奉仕も止めない。
にちゃにちゃと厭らしい音をたてながら唾液で寝れたペニスは、蛍光灯の光を反射し怪しく輝いていた。
兄貴として、人としてこんな事止めなければいけないのは分かっていた。
だけど、目の前に起こる妹からの異常な行為に俺は抗えなかった。
心でいくら否定していても俺の体は桐乃の奉仕に素直に喜びを感じていた。
まるで、桐乃とこうなる事を待ち望んでいたかのように……体と共に心も堕ちて行きそうになるのを俺はギリギリで耐えていた。
「き、桐乃。やっぱり止めよう。こんな事お前の為にならない。こう言うのは好きな奴とするべきだ」
ボーダーラインを超える前にどうにか、桐乃の暴走を止めようと説得を試みる。
こんな事続けていた俺も、桐乃も絶対に傷つく。
俺達は兄妹なのだから。
「こんな安易にしていい事じゃない。もっと自分を大切に………」
しかし行為の途中、機械的なメロディーが聞こえ俺は言葉半ばで止めてしまう。
今の音は携帯の?
桐乃の手にはいつの間にか携帯が握られており何かのボタンを押していた。
「き、桐乃?何をした」
俯き顔を伏せる桐乃の表情は分からない。
嫌な予感がひしひしと感じていた。
顔を上げ残酷な笑みを浮かべた桐乃は全く悪びれず嬉々としてはっきりと告げた。
「メールを送った」
「な…だ、誰にだ」
「さっき見せた写真、添付して送信したって言ったのよ。黒猫にも、あやせにも……地味子にもね。兄貴が悪いんだよ。何時までもぐだぐだ言って逃げるから……」
信じられない言葉に俺は一気に頭が真っ白になった。
「そ、そんなの…お前、自分が何をしたのか分かってるのか!?」
「分かってる。これで兄貴が私だけのものになるしかないって事が……もう逃げ道なんてないよ」
何処か焦点の合わない目で冷たい笑みを浮かべる桐乃。
生意気で何時も振り回されて、兄とも思わない可愛くない妹……それが、こんな事になるなんて俺は何か間違った事をしてしまったのだろうか?
「兄貴は私だけのものなんだから、誰にも渡さない……ずっとずっと私だけを見てれば良いのよ。邪魔する奴なんて皆、消えれば良い」
躊躇いもなく衣服を脱ぎ裸体を曝け出す未成熟とは言え人気モデルの桐乃の姿は男の性欲を湧きたてるのは十分で俺は思わず生唾を飲んだ。
もう後戻りは出来ないって事かよ………なら、遠慮する事は無いじゃないか。
どちらに行っても同じなら、求められる通りにこの穢れを知らない体を蹂躙すれば良い。
はは、可笑しいのは桐乃だけじゃない。
俺も十分狂ってる……幾ら逃げ道を断たれたからと言って、妹に対してこんなにも興奮しているのだから。
「兄貴どうするの?このまま続ける。それとも止める?」
その答えはもう俺の中では決まっていた。
「もちろんやってやるよ。お望み通り、気が触れるまで犯しつくしてやるからな」
桐乃によって拘束を解かれた俺は、首輪から解き放たれた獣のように覆いかぶさり今までの鬱憤を晴らすように乱暴に犯し貪りつくした。
その姿は人間とは言えず文字通り獣だっただろう。

そして、一夜が明けた。
「ん………」
窓から差し込む日差しを感じながらゆっくりと目を開ける。
寝起きで朦朧とする意識の中、部屋に残る昨日の行為の淫行の名残を感じ俺はこれからの事を思い溜息が洩れた。
桐乃が無情にも送信した写メ。
そして実妹に手を出した現実にこれから待つであろう酷な現実に心が折れそうだった。
「……何考えてるのよ」
「桐乃……起きてたのか」
俺の胸で安からな寝息をたてていた筈の桐乃がいつの間にか目を覚め昨日の奇行とは違い真摯な目を向けてきていた。
「答えなさいよ。一体何を考えていたの」
「そりゃ…これからの事だよ」
「ふっ、なんだそんな事」
「そんな事ってお前……」
世の中、例えお互いが納得をしていたとしても近親相姦は奇異の対象になる事は明白。
むしろ犯罪行為だ。
黒猫達にばれしまっている以上、俺達はもう今までのようにはいられないだろう。
親父にばれたら、この家に居る事は出来なくなるかもしれない。
しかし、俺の不安をよそに桐乃は余裕の笑みを浮かべていた。
「そんな事よ。誰にもばれてないし、私とあんたが黙っていれば問題はないわよ。いわゆる二人だけの秘密ってやつね」
「は?だってお前メールを送ったじゃねーか。秘密にしてももう遅せーだろうが」
「ああ、あれね。あれは……」
徐に携帯を取り出した桐乃は、液晶画面に映ったメールの送信履歴を見せられると写メを添付したメールの送信先は一件のみだった。
そして、そのアドレスは見慣れない物で明らかに携帯のアドレスとは違っていた。
「送ったのは私のPCのアドレスによ。だから大丈夫」
「は?つまり」
「そうねー。さながら私は妹の嘘を真に受けた変態兄貴に犯されたと言う事なのかな。単純な兄を持つと本当苦労するわね」
ああ………またか、またこいつに良いように翻弄されただけなのかよ。
それを真に受けて俺は、俺って奴は……少しは成長しようぜ。
ばれてない事を喜ぶべきか、それとも桐乃に騙された事に怒るべきか俺はどっちをするべきなのだろうか。
頭を抱えて苦悩する俺に、桐乃はまるで恋人のようにギュッと腕に抱きつき甘えてきた。
「もう、とっくに一線越えたんだから、一々細かい事で悩むんじゃないっつーの。それでも男?」
「いやいや、これは細かい事じゃないだろう」
「細かいわよ。あんたは私の事だけ見てれば良いーの」
「だがな……」
「それとも何?妹にここまでして無かった事にしてくれって言うんじゃないでしょーね」
恐ろしいぐらい冷たい目で見られ俺は口を噤んだ。
「んぐっ………そ、そこまでは言わないが、桐乃は本当に良かったのかよ」
「さっきから、良いって言ってるじゃん。これは私が望んだ事だし、それにもう離れるのは嫌だから………」
「桐乃?」 一瞬、表情に垣間見えた陰りに俺の中で何かが叫んでいるそんな気がした。
「それじゃ私、そろそろ部屋に戻るね。このまま居ると騒ぎになるし」
「あ、ああ。分かった」
結局、桐乃に対して何も言えなかった。
昔に桐乃にこんな事を言われた気がしたけど………俺の気のせいか。
布団から抜け出た桐乃の温もりの余韻が残る布団を妙に寂しく感じながら桐乃を背を見送っているとふいに不意に足をとめた。
「どうした?」
「後、一つだけ…あんたに、言い忘れた事があったんだけど」
「な、何だよ」
なにかまだあるのかよと、思わず体に緊張が走り嫌な汗が流れる。
もう、妹に手を出すと言う禁忌に触れた俺には恐れるものはもうない……心に何度も言い聞かせ強く構え桐乃の告白を待った。
だが、俺の予想に反し桐乃の反応はしどろもどろで落ち着きが無く、頬を赤く染めて恥ずかしそうにしていた。
あ、あれ?何この反応。
まるで放課後に憧れの先輩に告白するような、恋する乙女の様子に妙な雰囲気に俺は今までで一番戸惑っていた。
「その、私……今まで色々と酷い事したけど、本当はずっと前からあんたの事好きだったから」
「………は?」
「これだけはちゃんと伝えたかったから。でも、私を裏切ったら、今度は本当にばらす。あんたは私のものなんだからね……だからバカ兄貴。今度はちゃんと私の傍にいなさいよ」
「………」
「じ、じゃ。また後でね」
パタンと小さな音をたて部屋を出ていく桐乃を黙って見送る事しか出来なかった俺の顔はきっと真っ赤になっているに違いない。
突然の桐乃の告白に、俺は戸惑いを感じ言葉の意味を理解するのに相当な時間をかかってしまった。
つまり、桐乃は俺の事が大好きで今までの態度は照れの裏返しって事か?
ははっ、そうかそうだったのか良かっ………たじゃね!!
そうじゃねーだろう!!これからの事を考えないとまずいだろう俺!!悠長に喜んでる場合か!?
そう思いつつも、桐乃の告白に喜ぶ自分がおり口元が勝手に緩み、同時にこれから待ちうけるであろう妹との禁断の日々を想像して言いようのない昂ぶりが沸々と湧きたち股間が熱く膨れ上がって来るのが分かった。
許されない行為と知りつつも、既に俺の体は男としての本能で桐乃を女として確かに求めている言い逃れが出来ない証がそこに表れていた。

~End~







inserted by FC2 system