俺、ささら、タマ姉、このみ、雄二との生徒会でのメンバーで昼食を食べ終えて屋上でゆったりと談笑していると徐にタマ姉が切り出してきた。
「あ、そうだわ。久寿川さんその・・・ごめんさい。今日の生徒会の仕事なんだけどちょっと家の用事があっていけないの。だから休ませて貰えないかしら?」
「そうですか・・・分りました。今は大きな仕事はありませんし大丈夫ですよ」
「ええ、ありがとう」
「ん?なんだ、姉貴。用事何かあったけ?」
雄二の言葉にタマ姉はこめかみを押さえて、言いよる。
「雄二・・・あなた、もう忘れたの。今日は向坂家の行事があるでしょう。数日前にお父様から電話があったでしょう」
「数日前・・・・・・あ゛そう言えば・・・」
タマ姉の一言でやっと思い出したのか、納得した顔になる。
「全く・・・」
「じゃ、今日の生徒会は俺とささらとこのみだけか」
学年も違えば、ある程度事情もあるから全員が揃わない事は珍しくない。
そう呟く俺の裾を誰かが引っ張っていた。
「ん?何だこのみ」
「そのね・・・・タカ君。このみもちょっと今日は用事があって・・・・行けないの」
「え?そうなのか・・・ところで用事ってなんだ」
当然に俺は気になって聞き返すとこのみは少し言い辛そうにしながらも口を開いた。
「あの・・・ね、前のテストの時赤点があってそれでその・・・・」
「あー・・・補習か」
「うん」
「それじゃしょうがないよな・・・頑張って勉強してこいよ」
俺の一言にこのみは表情を曇らす。
「ううっ、頑張りたくないであります」
俺はそんなこのみを励ます様に俯いた頭を撫でてあげた。
じゃ・・・今日は俺とささらの二人だけって事っか。
それに気づいた俺は、内心嬉しく思いながら視線をささらの方に向けた。
ささらも俺と同じ事を考えていたのか、俺と視線が合うなり頬を赤くして視線を逸らしたのだった。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

しかし放課後・・・・結局俺も何時もより大幅に遅れて生徒会室に着いてしまった。
「ささら!ごめん、ちょっと遅れた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ってあれ寝てる?」
かなり怒られると覚悟して慌てて来てみると、当の本人は気持ちよさそうに奥の席に座り腕を枕代わりにして眠っていたのが見えた。
怒らないのが良かったような居た堪れないようなちょっと複雑な心境だ。
しかし、俺も運が悪い。まさか教室を出るなり担任に捕まってしまい雑用を手伝わされて、こんな時間になってしまうなんて一生の不覚。

『あ、河野。ちょっと良いか』
『はい?なんでしょう』
『ちょっと頼みたい事があるのだが良いか』
『え・・・あの、俺生徒会の用事があるのですが・・・』
『それなら、大丈夫だろう。今は大した作業もないし、久寿川も居るしお前が居なくても問題ないだろう』
『あの・・・それはちょっと酷くありません?』
『良いから手伝え、何時もお前には心労かけられてるから少しは恩返ししても罰は当たらんだろう』
『え゛!?ちょっと、それは普通の俺のセリフじゃ・・・あーーーーーー!!』

本当俺が、何をしたんだ・・・・・・って身に覚えがあり過ぎるのが辛いけどな。

「その・・・ささらさん?」
てっきりいじけて不貞寝してるかと思い恐る恐る近づいて顔を覗きながら話しをかけると反応がなかった。
「すぅー・・・すぅー・・・・」
どうやら本当に眠ってるみたいだった。
「気持ちよさそうに寝ちゃって・・・最近まで忙しかったからかな」
「んっ・・・」
そっと前髪を撫でてあげると気持ちよさそうに声を上げた。
きっと一人で居て気が緩んだのだろうな。
最近激務が多かったから、流石のささらも疲れたのかもしれないな。
昔のささらを知ってる俺としては、こんな無謀に寝てるささらを見れるなんて想像も出来なかった。
ま、当時も相当無理してたのは分ってるけど。
俺は空いてるささらの隣の席に起こさない様に静かに座って机の上に置いてった書類を手に取った。
せめて俺も遅れらお詫びに何かはやろうと考えていたが・・・流石ささら。一人でも完璧にこなしていた。
「俺のやる事なんて何もないな・・・はぁー」
思わず溜息が洩れる俺はちょっと申し訳なくて、心地よさそうに眠るささらのその寝顔を見つめる。
俺はせめてのお詫びに、眠っているささらの頭に手を近づけた。
「お疲れ様。遅れてごめんな・・・ささら」
「ん・・・」
俺はそのまま、ささらの髪を優しく撫でた。
名前のとおり透通るようなきめ細かさな髪は一度も手に引っかかる事無く動く。
こうして見ると本当ささらは美人だよな・・・・タマ姉に勝るとも劣るとも違わない。
こんな可愛い女性が俺の彼女なんて本当に夢のようだ。そんな彼女を放っておいてた俺は相当ヘタレだろうな・・・
「サラサラしてる・・・・女の子の髪って結構気持ちいい物なんだな」
頬杖をつきながら俺も気持ちよさそうに撫でてると、ささらもピクピクと反応をし嬉しそうに顔を緩めていた。
しかし、これは意外に楽しいかも知れない。
「・・・・そんな無防備な寝顔をしてると襲っちまうぞ。ささら」
思わずそんな事を呟くと、そんな俺の呟きを挑発すかのようにささらの口から、色っぽい声が漏れてきた。
「ん・・・はぁ・・・」
「な、何か声がエロい・・・・・ゴクッ」
時折喘ぐ声が何処となくあれな声に聞こえてきた俺は、思わず生唾を飲み込んでしまう。
いけないと思いながら段々と俺の心の中からちょっとした悪戯心が湧いてきて、キョロキョロと周りを見渡し誰も居ないのを確認した上でちょっと椅子をささらに寄せて近づけた。
「ちょっとだけちょっとだけだから・・・・起きるなよ」
誰に言い訳する訳でもなく俺は小さく何度も呟いていた。
その可愛い寝顔に、恐る恐る近づきそして・・・・
「ん・・・」
「お、や、柔らけー・・・・すっごいぷにぷにしてる」
指で押すと弾力で跳ね返ってきて、まるでマシュマロのようだ。
今度は手で撫でてあげると寝ているにも関わらず嬉しそうに手に擦り寄せてきた。
本当すべすべだよささらの頬。流石に抓ると嫌そうな顔をしたけどな。
「猫・・・いや、まるで犬のようだな。でも・・・か、可愛い」
段々気持ちが乗ってきた俺はそのまま、頬だけじゃなく耳元や顎に触れそして唇に手が触れた。
こっちも柔らかいな・・・・なんか別の意味で気持ちが良い。
桜色の唇を指で軽く触れていると、急にささらが小さく口を開いてきた。
あ、やべぇやり過ぎたか!まさか、噛まれる!?
寝惚けてそうなると思った俺は覚悟を決めたけど、ささらはそのまま俺の指を口の中で咥えるだけだった。
ほっとするのも束の間ささらはまるで、飴玉を舐めるようにレロレロと指先を舐められる。
「っ、さ、ささら!?」
寝ているささらには俺の声は届かない。
そのままちゅぱちゅぱと吸っていた。
「くっ・・・すっげー気持ちいい・・・・・」
指先から感じるささらの舌の感触に俺は沸々と欲望の火が猛ってくるがのが感じていた。
俺はゆっくりとささらの唇から手を離すと指に絡まった唾液がつーっとささらの唇から垂れた。
その様はまるで男のあれをを咥えた後のような錯覚を思わせる。
俺の我慢はそこまでだった。
我慢できずに、息を荒くしながら俺は少しづつささらの顔に近づいて行った。
そして、後数㎝で唇まで届く距離まで来たとき不意に声が聞こえてきた。
「・・・貴明さんのH」
いきなり聞こえた声に俺は我に返り慌てて離れた。
何時の間に起きていたのか、俺は分らず動揺しまくりだった。
「え、あ!!さ、ささら起きてたのか!?」
「うん・・・ちょっと前から」
「い、何時からだ」
「えっと・・・・・・頭を撫でてくれた辺りから」
え゛?それって結構前からって事・・・・っていうか俺かなり恥ずかしいセリフを呟いてなかったか。
あまりのショックに顔を赤くして呆然とする俺を少しいじけたように膨れっ面になったささらは軽く睨んできた。
「むー。貴明さん遅い・・・・もう仕事終わっちゃったわ」
「うっ・・・ごめん」
謝る俺に、ささらは不機嫌モード全開の様子だった。
プイっと明後日の方角を向いて、頬を膨らませていた。
「きっと貴明さんは私なんてどうでも良いのね」
「そ、そんな事無いって!?」
「だって、今日は二人しかいないのが分ってたのに全然来てくれなかったわ」
「それは担任に捕まっててね・・・決して俺の意志では・・・」
どれだけ言い訳してもささらは聞いてくれなかった。
予想以上ないじけっぷりに俺はかなり困っていた。
ま、初めて見るささらの怒りっぷりが可愛くて思わずニヤニヤするのは内緒だけど。
「なんでもするから、ね。お願い機嫌なおしてよ!ささら!!」
終いには苦策の妥協案を出した俺に、ささらはピクッと反応をしてだけどまだ頬を膨らませたままでささらが俺を見つめてきた。
「・・・本当に?」
「あ、ああ。俺に出来る事なら何でもする」
「じゃ・・・さっきの続きして」
「え?」
頬を真っ赤に染めて俺にそうお願いするささらに一瞬頭が真っ白になった。
さっきのってまさか・・・・・
「い、良いのか?さっきは寝てたふりをしてたのに途中で、止めたじゃないか」
「そ、それは・・・い、良いの!さっきはさっきなの!い、今は私がして欲しいんだから・・・・・・だからお願い、して」
潤んだ瞳で俺を見つめるささらのお願いに我慢何か出来る筈は無かった。
「分ったよ・・・じゃ」
ささらの細い肩に手を置き、ゆっくり近づく顔を近づけた。
「ん・・・・・」
ちゅっと可愛い音が消えてきそうなぐらい優しいキス。
ゆっくりと離れると、ささらは少し物足りない顔をしていた。
「どうしたの」
「えっと・・・もっと」
これだけ期待した表情で見られればささらのお願いの意図は掴めるが悪戯心が湧き俺はあえて知らないフリをした。
「もっと何?今度は撫でて欲しい」
「う、ううん。そうじゃなくてその・・・・・」
顔を赤くして、口を陸に上がった魚のようにパクパクと必死に伝えようとするささらが本当に可愛い。
俺は可笑しくてつい笑みが零れた。
「あぅ・・・・なんでそんなに意地悪するの?」
「くくっ・・ご、ごめん。だってあまりにささらが可愛かったから」
「ううぅ・・・・やっぱり貴明さんは私の事嫌いなんだ・・・・」
本気でいじけモードに入りそうになるささらに俺はちょっとやり過ぎたと思い必死に取り繕う。
「本当にごめん。わざとじゃないんだって、ほら好きな子には意地悪したくなるだろうそんなもんって言うかなんて言うかな」
思わずこっぱ恥ずかしい事を口走ってるが、機嫌を損ねたお姫様を宥める為には仕方がないと言えよう。
歯の浮いたセリフに、少しはささらは気分が良くなったのか嬉しそうに笑みが浮かぶけど直ぐに唇を尖らせてしまった。
「むー・・・許さないから・・・もうキス何かじゃ、騙されないわ・・・」
「じゃ、何をすれば良いの」
俺のその問いにささらは顔を真っ赤にしながらも小さな声で呟いた。
「・・・ート」
「え・・・」
「だから、デートしてくれなきゃ許さないから・・・だから・・・・その」
そんなお願いなら願ってもないよな。
今度は意地悪する事無く俺は頷いた。
「分ったよ。今度の休みにデートへ行こうか」
「あ・・・うん!」
嬉しそうに頷くささらに、俺も自然に笑みが浮かぶ。
「じゃ、今日はもう何もないだろうし帰りにヤックでも寄ってデート先でも決めるとしますか」
「うん。今から楽しみ・・・・でも、もう意地悪しないでね」
「あ、ああ。分かったよ、しないよ」
俺だけに見せる自然な笑みを浮かべて俺達は極々自然に手をつないで帰路についた。
しかし、ヤックで嬉しそうに次の休みのデートのプランをたてるささらを見て、やっぱり凄く可愛くてささらをまた虐めてみたいと内心思った事は内緒だった。

~終わり~







inserted by FC2 system