麻弓の愚行が原因で過去に飛ばされ約数日。
先日、やっと現実世界に帰る事が出来る魔法具が見つかり盛大に稟達の送別会がここ魔殿下の屋敷の一室で行われていた。
豪華で清楚な雰囲気を醸し出す装飾を施された室内とは裏腹に、まるで仕事帰りの飲み会のようなノリでそれぞれが騒いでいた。
その筆頭は言わずと知れた祭の構成部品である樹と麻弓である。

「わはははは、もっと腰を振りなよ。似合ってるよ麻弓」
「ううーどうして私がこんな目に合うのですか…」

シャツをたくし上げ丸出しの腹に黒い顔のような物を描いた模様を器用に動かしながら踊る麻弓を樹は声高らかに笑っていた。
普通ならば引いてしまう行動も麻弓ならば、ちょっと似合ってしまうのが何とも言えない。
しかし、当の本人は半泣き状態で内心穏やかではない。
先程まで行われていたゲームで惨敗した麻弓が悪いと言えば悪いのだが流石にこの光景は不憫な事この上ない。
もっとも周りの面々はこんな光景も慣れたのか呑気にしているのだが。

「へー、日本って勝負に負けるとこんな事しないといけないのね~」
「うむ。実に面白いね。勝負にはリスクは付き物。地球人の女性も中々無骨じゃないか」
「そうでしょう。負けた物にはペナルティーが付きものですからね」
フォーべシイとアイに対して樹の容赦ない返答を聞こえた麻弓は半分やけくそに気味に踊り続けた。
流石に麻弓が不憫に思えてきた稟が口を挟んだ。
「真顔で嘘を突くなって。日本でもここまではしないだろうが、流石に止めてやれ…見るに堪えない」
「つ、土見君……」
稟の助言に麻弓は感動し涙を浮かべ安堵の表情を浮かべるが現実はそこまで甘くなかった。
「何を言ってるんだい。敗者には何も言う権利はなんだよ。それに麻弓も泣きながら喜んでるじゃないか」
「……確かに」
「ちょっと土見君!!」
つい本音がぽろりと漏れた稟に麻弓の怒声が飛んできた。
そんな麻弓は鋭い視線と共に稟に対して必死のSOSの信号をアイコンタクトに乗せて送ってこられ稟は慌てて訂正をする。
「あ、いや……ごほん。どう見ても嘆いてる風にしか見えないぞ」
「そうかい?僕はそう見えるけどね」
どSの樹は全く気にする事もなく心底楽しそうな顔でにやりと不気味に笑っていた。
何とかしてあげたいのは山々だったが、樹との付き合いが長い稟はこの表情を見て絶対にやめる気が無いのが分かっていた。
逆に無理に止めようものならこちらにとばっちりが来る事は明白。そう判断した稟はあっさり諦めろとジェスチャーで麻弓に伝えた。
(ごめん無理)
(そ、そんな。もう少し頑張ってくれても良いじゃない!!)
安易に諦めてしまう稟に懇願するが、どうしようもない稟は麻弓に背中を向けそそくさと退散していた。
(すまん麻弓。俺にはどうする事もできん。お前の事は一生忘れない……潔く散ってくれ)
(ひ、酷いですよ!?)
最後にそれだけ伝えて遠ざかる稟の背中を恨みがましい黒い視線で睨む麻弓だが親衛隊から鍛えられたスキルを駆使し何事もなかったのように稟は離れて行った。


少し遊び疲れたのか稟はゆっくりとソファーに座った。
「ふう……」
テーブルに視線を移すと皿の中にはまだ食事の残りが余っていた。
小腹が空いた稟は空いてる小皿に料理を乗せ一口食べる。
冷めても美味しいように作られているのが流石、だと言えよう。
(えっと飲み物は……)
自分のグラスを探す稟に横からグラスが差しだされた。
「はい、稟さま」
「あ、セージ。ありがとう」
グラスを受け取り至近距離に映るセージの笑顔に思わず照れてしまいそれを隠すように喉を潤す。
そんな稟の隣に静かに座り先程まで居た騒動の元に楽しそうにセージは見つめていた。
「みなさん楽しそうですね」
「ま、樹や麻弓は馬鹿騒ぎが好きなだけだけどな…セージは一緒に遊ばないのか?」
「わ、私は良いですよ。メイドですし、それに……」
そう言って向かう先はフォーべシイの姿が。そしてその隣に寄り添うように傍らに座るアイと楽しそうに樹達を見つめる光景があった。
明らかに以前より親密に見える二人の関係。
それで気持ちを察した稟はそれ以上は何も聞かなかった。
「……働いてる方が楽しいですから、私の事は気にしなくても良いですよ」
「……そうか」
そして樹達は何ラウンド目かのゲームが開始しようとしていた。
「今度こそは絶対に勝つのですよ!」
「ははは、何度でも来ると良いよ。死ぬまで付き合って上がるからね」
「その言葉、そっくり返してあげるのですよ」
闘志を燃やし息まく麻弓とそれに余裕で答える樹。
今度は麻弓、樹のワンツーマンの勝負になり下がっており周りもその光景を楽しそうに見ている。
フォーべシイや、アイ、ネリネも楽しそうだからこれはこれで宴の醍醐味だろう。
最も散々負け続け頭に血が上り冷静さを欠いた麻弓では結果は見えている気もするのだが………ま、それも麻弓だし気にしないでも良い事だ。
和気藹々と笑い合う宴の模様。
だがセージ同様、稟も心から楽しんではいなかった。
視線をゆっくりと動かし真剣と書いて死闘といえる勝負をする樹と麻弓から少し離れた所でファーべシー達と楽しそうに見つめている一人女性、ネリネを見つめていた。
情熱的に見える赤い髪と意志の強そうな瞳、そんな少女を見つめる稟の表情は少しだけ悲しそうで遠い思い出を懐かしむようにも見えた。
そう稟の知る本来の彼女は綺麗な蒼い髪を腰まで垂らしまるでおとぎ話で出て来るような純粋無垢の可憐なお姫様のような少女。
それが今では赤く染まり、まるで別人のように軽快に笑っているのだ。
決して、今まで猫を被っていた訳ではない。
決して、髪を染めた訳じゃない。
本当に別人になっているのだ。
その原因が自分にある事が分かっているからこそ稟の心情は複雑だった。
ネリネ自身は知らないが稟は大罪を犯している。
それは……

「ん?稟、こっちに来ないの。楽しいよ~~~♪」
「あ、ああ。後少し休んだらな」
稟の視線に気づき手を振るネリネに何時ものように返事を返した。
(……もう考えるのはよそう。姿が変わってもネリネはネリネだ)
強引に納得させ、揺らぐ気持ちを奥底に沈める。
だが遠目のネリネには悟られる事は無かったのだが、傍らに居たセージだけは別だった。
「稟さま…どうしたんですか?」
「…何がだ」
「何か凄く思いつめた顔をしていました。悩み事なら私で良ければ相談にのりますよ」
稟の哀愁の感情を感じたセージはそっと手を握り労わってくれる。
(セージ……)
稟を一途に見つめる紅玉の瞳は単純な信頼関係からのものだとは到底思えないほど熱く温かかった。
セージの気持ちは稟にとってとても嬉しくもありとても辛いもの……セージの今の気持ちが稟の最大の罪なのだ。
不本意に過去来てしまったとはいえ、本来起こりうる現象を塗り替えてしまい歴史を改革してしまった。
そのせいでネリネが存在が気薄になり、本来の存在が消えようとしていた。
またその両親であるセージとフォーべシイの関係も曖昧なものに……なんとか歴史を戻そうと奮闘した稟達。フォーべシイとセージを再び結ばせようと奮闘した結果、あろうことか稟はセージと一線を超えてしまったのだ。
なぜこうなってしまったのか。
なぜこんな事をしてしまったのか。
フォーべシイとアイの関係に悩み嘆くセージを放っておけずそしてある日稟の部屋に訪れ晩酌交じりに漏れた彼女の弱さに始めて見る儚さに断る事が出来ず受け入れてしまった。
それが稟の優しさであり最大の魅力でもあるがそれが今回は大いに災いしていたのだった。
(俺って最低だよな………こんな事しても悲しませるだけなのに)
ネリネと言う大切な人が居るにもかかわらず他の女性に手を出し自らの最愛の女性すら守れなかった稟の罪は重い。
その結果が今のネリネだ。
あのネリネはネリネでありネリネでない。
それでも稟は離れるつもりは毛頭なく、ネリネの傍に居る事には変わりはない………だが。
押し寄せる後悔の念は止まらず胸の奥を掻きむしりその胸の内の中でも少なからずセージを慕う気持ちがある自分を更に稟を悩ませている。
セージは本来の自分の未来を知らない。
稟達が何処の時代から来てどう言う存在なのかを…そしてそのせいで稟が起こしてしまった罪も知らない。
それ故にセージは純粋無垢な瞳で見つめているだけに過ぎないのだ。
それが暴言を吐かれるより稟にとって遥かに辛い事だった。

「セージ。俺な……」
「はい」
「俺は…」
「はい?」
「……ちょっと外に出ないか」
「え、でも……先程ネリネ様が呼んでたじゃないですか?行かなくて良いんですか」
「そうだけどさ……その……セージと二人でゆっくり話がしたいんだ」
未練や後悔を生む事と知りながらもセージと一緒に居たい思いの方が強く考えるよりも先に口から出ていた。
(言える訳がない……そんな事言ったらセージが傷つく……いや、詭弁はよそう。これは俺の勝手な思いこみだ。俺が傷つきたくない…セージと仲良くする資格なんてないのにな)
稟の心情をしらないセージは頬を朱に染めて頷く。
「り、稟さまがそう仰るのでしたら……私は構いません」
「それじゃ、こっちに行こうか……」
誰にも見られないように気をつけながら部屋の窓から外に出た。

「風が気持ちいですね……」
「そうだな」
少し場所を離れ人気のない森の中をゆっくりと歩く。
そのまま地面を踏みしめる音と、風の音だけが響き何も語らずそのまま歩く。
そして森を抜けると開けた草原には泉が広がり月明かりを受けてキラキラと輝いていた。
特に意識した訳じゃないのだが、何故かここに来ていていた。
あの日の夕暮時にした会話が稟の脳裏に霞めてしまう。

“後一年稟さまと会っていたら良かったのに……”

セージを励ますつもりが近寄り過ぎたせいで稟に依存させ過ぎてしまった。
セージの事が嫌いなわけではない。
むしろ、惹かれている。
(ネリネが居なかったら俺もきっと……セージの事を選んでいたかもしれない)
それ程魅力的な女性だった……だがそれは架空の話だ。
“もしも”“あの時”なんて自らの行為を悔いている弱い者の言葉だ。
そんな事を思えば自分だけじゃないセージの気持ちを弄んでる事になる。
それだけは絶対にしたくは無い。
矛盾してると思いながらも稟は必死にそう思いこもうとしていた。
そしてそれをセージに知られる訳にはいかない。
最後までは笑ってセージの傍に居る事。
それが稟が出来る唯一の行動だった。
「取りあえず、座ろうか」
「はい」
風で揺れる水辺を眺めながらこれまであった事を話す。
門の前で初めて会った事を。
木陰の傍で膝枕をし夕暮れまで眠ってしまった事を。
セージの為に庭園一体を掃除してしまった事を。
この先に待つ別れをまるで忘れ去るようにお互いに思い出を口にする。
経った10日の間だったけど本当に色々とあった。
そのどれも二人にとってはかけがえのない思い出。
それも明日で終わりを告げる……そして次第に会話も無くなり二人の間に再び沈黙が訪れ、そよぐ風の音だけが流れていく。

「あの……稟さま」
「なんだ」
「稟さまは……明日には帰ってしまうんですよね。人間界に」
悲しそうに声のトーンを落とす言葉に稟の心はチクリと痛む。
「そうだな……帰るよ。俺を待ってる人もいるし、元の時代に帰らないと」
「そうです……よね」
それにこれ以上この場に留まっていたら下手をしたらネリネの存在自体消してしまう可能性がある。
稟の答えは予測していたのだろうあまり驚いた様子もなくそっと視線を稟から逸らす。
だけどその表情は何処か納得をする事が出来ない微妙な反応、セージは引きつった笑顔のまま再び稟に顔を向けてきた。
「その……り、稟さまだけここにもう暫く残る…なんて事出来ないですよね」
「セージ……ごめん。俺は……」
「あ、あははは。何言ってるんだろう私、ごめんなさい。じ、冗談なんですから気にしないでください。聞いてみただけですから……だ、だから稟さまは、稟さまの世界に帰え……って、あ、あれ?稟……さま?」
あくまで笑顔で取り繕うとする懸命に笑おうとするセージに対して稟は我慢が出来ずに思わず小さな体を抱きしめていた。
「ごめん……俺のせいだ。俺なんかがセージと出会ったからこんな事に……ごめん」
こうなる事は結ばれたあの夜の日から十分分かっていた事だった筈だ。
だけど、分かっていながらもセージを傷つける事が泣いてる姿を見たくなかった。
自分の弱さのせいで結果を後回しにして起こった結果がこれだ。

(俺は何も学んでないよな…楓の時もそうだ……結局悲しませただけ)

自分のせいでセージを悲しませてる、自分ではセージを幸せには出来ない。
その事を自覚してる分、溜まらなく悔しく稟は自分自身が許せなかった。
「稟さま……泣いてるんですか?」
「ごめん。本当に……ごめん」
膨れ上がる罪悪感は拭いきれず稟は情けなく泣き続ける事しか出来なかった。
涙を流すなんて行為、親が死んだときでも流なかった筈なのに今の稟は気持ちを止める事など出来なかった。
本気でセージの事が好きだったから……

「俺が悪いんだ……俺と出会ってさえいなければ、今頃セージは」
嗚咽を漏らし懺悔する稟の背中に小さいだけど温かい温もりが伝わり撫でる感触が伝わった。
「そんな悲しい事言わないでください。稟さまと会って私は本当に嬉しかったんですから」
「だけど、俺のせいでセージは……!」
「良いんです。これは私が望んだ事でもありますから稟さまが気にする必要なんて何もないんですよ。だからそんな悲しい事言わないでください」
抱きしめる腕の力を解きセージの顔を見つめる。
稟を見つめる表情は優しさに溢れていてまるで心の中の罪を晴らすような温かい光のようだった。
「セージ……もしかて、知っていたのか?」
問う言葉に頬笑みを浮かべるだけ。
全てを知りそれでも尚、稟を気遣うセージの優しさが今は何よりも心を苦しめそして嬉しく感じていた。
「大丈夫ですから。稟さまは最低なんじゃないです。ですから…今は泣いて良いんですよ」
「セー…ジっ」
そのまま稟は自らの罪を嘆くように大声で子供のようにただただ泣き続けた。


暫く経ちやっと涙が収まった。
少しだけ気まずい雰囲気の中、照れ臭そうに稟が話しかける。
「なんだかみっともない所を見せちゃったな……ちょっと情けないよ」
気持ちが落ち着き冷静になると途端に先程の事が気恥しくなって頬を掻く。
「そんな事無いですよ。誰だって甘えたい時はありますから……それが私だったのが素直に嬉しいです」
「セージ……うん」
にっこりとほほ笑むセージが眩しくて俺は聞いてみた。
「な、セージ。一つ聞いても良いか…なんで君はそんなに笑っていられるんだ?」
たとえセージが許してくれても稟の罪は消えない。
そして、これは一時の関係。
明日からは会う事が出来なくなればこの関係は今日が過ぎれば自然に終わりを迎える……それなのになんで幸せそうに笑っていられるのだろうか?
それが不思議でならなかった。
「そうですね……私だってすっごく泣きたいんですよ。ですけど……」
「けど?」
「泣いてしまったら、稟さまとの思い出が全部悪い事みたいに思えちゃうじゃないですか。確かにネリネさまに内緒でこんな事してるのは悪いと思いますよ。だけど……私だって稟さまと出会えて稟さまに愛して貰ってとても嬉しかったのですから」
思いは止まらない。
人を愛すると言う事は自分の意志では止められないのもの。
頬を赤く染めながらも決して稟への思いが偽りでないと本心であると伝えるようにセージは精一杯の笑顔で気持ちを伝えて来ていた。
「セージは…強いな」
「そうでもないですよ。私だって今は稟さまが傍に居てくれてますから笑顔で居られるだけです。もし明日から稟さまの顔が見られないんだって思うと……きっと明日は沢山沢山泣いちゃいます」
その場には居ない稟には慰める事も触れる事も出来ない。
泣きたい時は泣けば良い。だけど、フォーべシイとの関係が終わった今、セージは誰に甘えればいいんだろうか………一人で泣き続けるのだろうか………
自分の勝手な都合だと思いつつも稟はセージにはずっと笑顔でいて幸せになってほしいと切に思った。
何が出来るか分からないだけど、稟は言わずにはいられなかった。
「あのさセージ、俺に何かして欲しい事ないか?」
「い、いきなりなんです?」
「いや、深い意味は無いけど今までのお礼に何かしてあげたいんだ。俺なんかじゃ出来る事は限られているだろうけど、せめてもの思い出にセージにだけなんか残してあげたいんだ」
「そ、そんな事無いですよ。稟さまには色々と頂いちゃいましたから私にはそれで十分……」
「良いから、何かないか?」
少し強引に勧めると少しだけ困った顔をしつつもセージは真剣に考え始めた。
数秒……
数分………
随分と長い間、思案しセージの中の願いは決まったようだ。
だけど少しだけ言い辛いのか言葉を詰まりつつ口を開いてきた。
「本当に…何でも良いんですか?」
「ああ、俺に出来る事ならな」
「そうですか。それじゃ……私、稟さまの赤ちゃんが欲しいです」
「ああ、そうか。子供か。それなら簡……たん?って何?」
子供とは男女がくんずほぐれつ乳繰り合い夜通し続ける行為の副産物。
文字通りの男女の愛の結晶体それが赤ちゃんだ。
もちろん、稟も良い年の男性。
若いからと言ってその意味も行為も知らない訳じゃない。
と言うか既にセージとはしてしまっているのだが……突然の発言に稟の思考はそこまで考えが及ばすフリーズしていた。
「あれ?稟さま。どうしたんです。稟さま!」
「……はっ!?しまった意識が飛んでた。ごめんごめん何やら幻聴が聞こえた気がして…で、なんだっけ」
「ですから、私は稟さまとの子供が欲しいんです!」
幻聴じゃありませんでした。すみません、本当でした。
稟は再び昇天しそうな意識を必死に繋ぎとめてセージの肩を掴んで詰め寄り真意を問いただした。
「セージ。意味を分かって言ってるのか?子供を持つって事はセージが母親になるんだぞ?そんな簡単に決めて良い物じゃ………」
「簡単じゃ…ないですよ」
「……え」
しっかりと稟の顔を見据えて話され口を閉じてしまう。 その瞳は強い意志を宿し決して安易な気持ちで言ってる顔ではなかった。
「私だって何を言ってるのかもちゃんと分かってます。酷い事をお願いしてるのもちゃんと理解してます。でも……」
少しだけ辛そうに悲しみに瞳を曇らし言葉を漏らした。
「稟さまの子供がいてくれれば傍にきっと私はずっと笑顔で居続ける事が出来ると思うんです。稟さまにはネリネさまが居て私は一緒には居られないですから……だからせめて稟さまと私が出会った証が欲しいんです。責任をとってなんて良いませんからお願いします」
「セージ……」
「やっぱり……ダメですよね。こんな中途半端な気持ちで子供なんてつくったら赤ちゃんの方が可哀そうですし……稟さまも私何かの……あ」
願望から落胆に変わり徐々に消極的な言葉を漏らすセージを稟は何も言わずにギュッと抱きしめた。
ここまで女性に言われ嫌と言えれるほど稟は鬼畜ではない。
出来る事はどんな事でもすると心に決めていたのだから本当にセージが望むならば稟には断る理由はない。
「……本当に俺で良いのか?後悔しないか」
「はい。絶対しません。だって稟さまとの子供ですから……」
「分かった。もう何も言わないよ」

互いに背中越しで服を脱ぎ始め月夜の湖岸に布が擦れる音が微かに響く。
「あ、あの…準備できました」
セージの声に振り向くと月明かりを当てられたセージの裸体が写し出されあまりに綺麗さに稟は唾を飲んだ。
「稟さま。どうしたんですか?」
「あ、いや……そのな、凄く綺麗だなって思って」
「はぅ……」
直球過ぎる言葉にセージの顔は耳まで真っ赤になっていた。
(綺麗ってそんな私なんて……あ、だめ稟さまにそう言われただけでちょっと濡れて来ちゃう…)
ただでさえ普段人が通る場所で肌を晒している事で羞恥心がこみ上がっているこの状況でのあの言葉。
うら若い乙女ならば当然すぎる反応だろう。
自分が愛する人に言われれば尚更だ。
セージ同様に服を脱いだ稟は雑草の生えた地面にジャケットと上着を下敷きにしてセージを寝ころがせた。
「体痛くないか?」
「は、はい大丈夫ですちょっと足がチクチクしますけど」
「それぐらいは我慢してくれ」
「わ、分かりました」
まだ性交を始めて間もないセージは体を強張らせていた。
今までの行為は思いを確かめ合う物だったが今回はより明確な物があり始めて踏み入れようとする道の領域に不安を持つのも仕方が無いだろう。
強がって揉んでもないお願いをしたセージだが、これでもまだ稟と対して変わらぬ年齢なのだから。
稟に頬を優しく撫でられただけで体がビクッと大きく震えた。
「そんなに力を入れてると持たないぞ。もう少し力を抜け」
「わ、分かってますけど、その、体が勝手に反応しちゃうんです~」
「しょうがないな」
涙目で言い訳をするセージに稟は苦笑を浮かべ頬から手を離し綺麗なピンクの唇にそっとキスをした。
ただ重ねるだけの優しいキス。
二人の吐息が漏れる。
「稟…んちゅ……さまぁ」
「大丈夫だから…ちゅ……」
不安に駆られるセージを労わり慰める優しさにセージの体の力も徐々に抜けて行った。
(稟さまのキス優しい……稟さま……もっと……)
徐々に気持ちが高ぶり始め重ねるだけのキスから、大胆に変わり始め遂にはセージの方から舌を絡めてくるようになった。
(せ、セージ?)
一瞬の事に驚き稟の動きも止まってしまうが、稟もセージの気持ちに応えるように舌を絡める。
粘着質な音があたりに響き、二人が離れる頃にはどちらの物か分からないぐらい混ざり合った唾液が厭らしく糸をひいていた。
すっかり出来あがった二人は熱っぽい視線を絡め見つめ合い、稟の手がセージの申し訳ない程度の小さな膨らみの胸へと手を差し伸べた。
「ごめんなさい……稟さまも大きい胸の方が好きですよね」
「確かに、大きいの方が魅力はあるけどさ……小さいのも俺は好きだよ」
「で、でも男の人は大きいのが好きって…きゃう」
胸への愛撫を続けれられ刺激を加えられるセージは甘い吐息を漏らす。
確かに大きいの方が世の男性からは好かれるだろうが、巨乳=欲情と言うのは一概ではない。
世間には趣味趣向と言うものがあり好みは人それぞれ稟は特に胸に対しては拘りがある訳ではないのだから。
「俺はセージの胸は好きだよ。小さくて可愛くて触るとセージの鼓動が伝わって嬉しいよ。それだけじゃなのか駄目なのか?」
「い、いえ…駄目じゃないです。んはぁ…稟さまが…気に入って…ぇ…下さるなら私はそれだけで十分ですから」
「そ、そうか」
余りのドストライクな台詞に稟の鼓動は破裂しそうなほど高鳴り動きが若干鈍る。
羞恥に頬を染めて告げる甘い言葉が稟の精神を犯していく。
「どうしたんですか?稟さま」
「あ、いや…何でも無いよ」
「もう良いんですか。もっと触っても良いんですよ。稟さまの好きにしてください……こっちだって稟さまのだけの物ですから」
稟の手を握り自らの大事な部分、女性の未知なる聖域である秘唇に触れさせる。
既にそこは感触だけでも伝わるぐらい熱と蜜に溢れていた。
恐る恐る触れると十分すぎる程濡れた秘部はプチュッと音が鳴り簡単に指を侵入させた。
「セージのここ凄いぞ……」
「は、はい。稟さまに綺麗だって言われた時からずっとこうなってしまって……はしたないなんて思わないでくださいね。大好きな人に触れられたら誰だってこうなっちゃいますから」
照れ隠しの笑いを浮かべながら告げる甘い言葉。
最大の殺し文句は確実に稟の精神を犯し箍を壊して言った。
(な、何で俺の周りの女性陣はここまで男心を燻ぶる台詞を堂々と吐くんだ。卑怯過ぎる………)
初めて自分の周りの女性達に稟は悪態をついた。
稟の周りには数多くの美女が出そろい慕っている。
今でもその誘惑は続き、男としては大変名誉な事なのだろうがネリネと言う一人を決めてしまった今としては複雑な心境なのだ。
「ごめん……セージ俺なんか我慢できそうにない。もう入れても良いか」
「ど、どうぞ。お好きなだけ使ってください」
足を広げて自ら秘唇を開き誘うセージに稟の高ぶりも限界をとっくに超えていた。
怒張した肉棒を秘唇に当てがい漏れる愛液で十分に濡らす。
「入れるぞ」
「は、はい…」
ゆっくりと侵入して行くにつれて感じるのは、締め上げる圧迫感と火傷しそうなぐらいの熱い温もり。
膣内を進める感触だけで電気が走ったような快楽が全身に襲う。
「セージ…もう少し力を抜いてくれ。これじゃ直ぐに達してしまう」
「ん、そ、そんな事言われましても、私数日前まで処女だったんですよ?そんな事急には出来ません」
もっともな意見だった。
しかし、こんなすぐに達してしまうのは男としては情けな過ぎる稟は最後の意地をフルに使い射精感をどうにか抑える。
だが、セージの膣内は荒れる一方で一刻も早く稟から精液を貪り取ろうと刺激を続けて来る。
稟に出来る事は必死に腰を振り、射精する前にセージをいかせる事だけだった。
「セージ俺現界…!」
「は、はい。私もあと少しで…」
「くっ!?セージ!!」
「ん!あ、はぁああぁああああああ!!」
声を上げ反応するように締め付ける膣内に稟も限界を訪れセージの奥深くに精液をぶちまける。
二度三度と射精感が訪れやっとおさまったのは膣口から溢れるほど精液を出した後だった。
ゆっくりと抜くと、ひくひくと物惜しそうに動く秘唇の奥膣口から溢れて来る精液が垂れてきた。
「はぁはぁ…セージ大丈夫か」
「は、はい。稟さま…とっても素敵でした」
陶酔した顔で見つめ合い自然の流れで口づけを交わす。
「ちゅ……中に稟さまが沢山あるのが分かります」
「あ、あんまり恥ずかしい事をサラっと言うな」
「だって……ん、中から垂れて折角なのに勿体ないです」
「お、おいセージ」
溢れる精液を指ですくい何を思ったのかそれを口に運ぶ。
まるでゼリーを食べるような感覚で食し喉に流し込んだ。
「ちゅ…精液って変な味ですね。最初の時は緊張していたので余り分からなかったですけど」
「………」
「あれ?稟さま、どうしたんですか俯いて…震えてますけどもしかして寒いんです……きゃ!?
セージに再び覆いかぶさり荒い息でじっと見つめる。
「り、稟さま…?」
「セージ、もっとしても良いか。俺まだまだ足りない」
あんな卑猥な光景を見せられて何も感じない奴はインポか男食のどちらかだろう。
その両方には慨さない、ごく一般的な感覚の持ち主の思春期真っ只中の稟では、精液を美味しそうに貪る光景などまさに火に油を注いだの如く、一回程度の射精で止まる訳がなかった。
まさに暴れる絶稟。
それに……
(明日になるとセージとは会えない。なら今日一日で腹が膨れるまで出しつくしてやる)
普段の温厚の稟とは別の情熱的な衝動。
その影響は顔にも現れていて少し怖い。だがセージは臆することなくむしろ嬉しそうに微笑み火照り赤く染めた稟の頬を優しく撫でた。
「はい、良いですよ。私の中を稟さまで一杯に稟さま専用に一杯一杯に染めて下さい」
重なりある二つの 影。
数時間ぶっ通しでやっり続け互いに性も根も尽きかけた頃に二人はやっと屋敷に戻ってきた。
服を脱いでやっていたのが幸いだったが、それ以上に体にこびり付いた汗と愛液の匂いが凄く特に地面に敷いていた稟の服はもう相当な状態だった。

「あははは、流石にこのまま中に戻るとまずい……よな」
「そうですね……私達が出ていってからもう何時間も経ってますし、この状態じゃ言い訳のしようも……」
半分心を決めて出て行った時と同じ窓から宴をしていた部屋に恐る恐る入ると稟の顔が途端に安堵と一緒に余りの壮絶な惨状に微妙な顔をしていたのだった。
「稟さま?どうしたんです……かって、これは……」
セージも稟と同じ様な顔をしていた。
一体何があったかは知らない。
が、床に転がる無数の酒びん、部屋に充満するアルコールの匂いと床に倒れるように寝そべっている皆の姿を見れば何があったのか大体は想像がついていた。
(大凡、酒の勢いと場の雰囲気に流されて秘蔵のお酒でもだして盛り上がった結果がこの悲惨な惨状なんだろうな……それよりも問題は)
そう思い横に視線を向けると案の定口元を引きつらせ、屋敷の清潔さを伴うメイドのセージは眉間に皺を幾つも作り不気味に笑っていた。
「あ、あのさ、セージ。後で俺も手伝うから今は……な。お風呂に入ろう」
「……そうですね。今はそれが最優先ですね。着替えもしないといけませんし」
(ああ…セージの奴相当怒ってるよ。おじさん、生きてると良いな……)
そのまま倒れる皆を素通りし皆が起きる前に汚れた体を風呂場で洗いながし着替えもすました。
片づけをし、洗濯も済ませる。
ただ、流石に稟の来ていたシャツだけは匂いがこびり付いており直ぐには取れるような状態でないと言われ、仕方が無くそれはセージに処理して貰う事になり屋敷に置いて行く事ととなった。
その後は二人で部屋の片づけを進ませほとんどが済まし終わりかけた頃やっと倒れていた面々が起き上がる。
「あ、稟だ…もう何処に行ってたのよ」
「おい、寝ぼけて乗っかるなってネリネ。危ないだろう」
「ん…稟じゃないか。何でここに居るんだい?」
普段のクールな表情とは思いつかないぐらいだらしない顔をして寝ぼけた様子の樹に稟は思わず笑ってしまった。
「何でってお前……俺も始めっから一緒に居ただろうが」
「あれ?そうだったかい。なんか途中から居なかった気がしたんだけどね」
「気のせいだろう。きっと俺がトイレに行ってた時にでもそう思ったんじゃないか?」
「それもそうだね……うっ頭が痛いね」
「飲み過ぎだ馬鹿」

結局この宴が原因となり俺とセージ以外二日酔いでダウン。
そのお陰か皆の記憶はかなり曖昧になっており稟達が居なくなっていた事は全く気付いてない様子だった。
幸いと言えば幸いだが微妙な心境なのも否めない。
宴に参加してなかったバーグも被害を免れてはいたが二日酔いのフォーべシイを看病していて準備は出来ず結局帰るのは次の日となってしまった。
もちろん、夕暮れ時にはけろっとした軽快な様子で復活したフォーべシイは懲りずに今夜もと二次会をと意気込み予定をするのだが今朝の惨状を見たセージの怒りのサンダ―キックにあえなく撃沈。
今日一日は何時ものように部屋で大人しく過ごす事となり、そして次に日の朝……ネリネの部屋にあったここへ飛ばされたのと同じ魔法具が庭園に設置し集まっていた。

「あーあ、これで豪華な屋敷での宿泊旅行も終わりか」
「何を言っているだ麻弓。元はと言えばお前がネリネの部屋の鏡が触れたのがそもそもの原因なんだぞ」
「そうだよね。麻弓が一番悪いもん。どうせなら麻弓はここに残ったら良いじゃない?」
「ひ、酷いのですよ。皆してか弱い乙女を苛めるなんて……」

『いや、全然か弱くないから』

稟、樹、ネリネそしてフォーべシイ達までも息を合わせた抜群のタイミングで突っ込まれてしまった麻弓はすっかり落ち込んで地面でのの字を書いていた。
別れだと言うのに何時ものように陽気に漂う雰囲気は彼ららしと言えばらしかった。
「稟ちゃん、久々に楽しい日々を過ごさせてもらったよ。もし元の世界に戻って私と会う事があったらその時はまた騒ごうじゃないか」
「はは。……それは出来る事なら勘弁したいですね」
既に散々騒がれてるのを経験している稟は素直に頷けなかった。
「皆元気でね。また会えるのを楽しみにしてるよ」
「ええ、僕もアイさんと会えるときっと信じてます。その時はぜひ一緒にお茶でも…あ、麻弓何をする!やめろ!!」
「はいはい。最後までだらしなく発情しないの!」
何時の間に復活したのか、何時もの癖を起こす樹の耳を引っ張り海老フライをしようと縛りあげていた。
散々負けた罰ゲームへの仕返しのつもりなか何時より縄での縛りは強めのようだった。
今までのように和気藹々と話す面々。だが別れは刻々と近づいて来ていた。
「……それじゃ、そろそろ帰りますか」
「そうだね、ちょっと名残惜しいけどね」
稟の言葉に樹も頷き他の皆も同様に、気持ちも固まり鏡の前に立つネリネを囲むように並んだ。
魔法具を正常に発動するには魔族であるネリネの力は必要不可欠だからだ。
「それじゃ、皆準備は良い?発動させるよ」
ネリネの言葉に皆頷きそれを合図に魔法具を起動させた。
魔法具から淡い光が立ち上がり徐々に稟達を包んでいく。
「……稟さま」
消え入りそうな小さな声が聞こえる。
自分を呼ぶ声に稟は振り返えり笑顔で返した。
「セージ……元気でな」
「はい、稟さまも……無理をしないでくださいね」
「ああ、分かってる」
「ネリネさまとも……幸せ…に……」
告げる言葉が最後まで続かず俯いてしまう。
互いに最後は笑顔で別れよう、そう決めていたのにいざ別れに直面すると言葉がでなかった。
(ちゃんとお別れの言葉を言いたいのに、言わないと駄目なのに……言えないよ)
震える唇から、嘆く心から、愛する者への別れの言葉を告げるのは容易ではない。
例え許されない恋にしても好きと言う気持ちは止められるものではないのだから。
本当はずっと一緒に居てほしい、このまま二人で何処かへ行きたい……でもそれは出来ない。
せめて涙が流れない事が、無理やりでも笑顔で居られる事がセージにとって唯一の救いだった。
「……ージ」
目の前の光が強まる中、自分を呼ぶ声が聞こえ顔を上げる。
そこにあったのは出会った時から変わらない、だけど今では世界で一番愛おしいと思える大切な人のの笑顔があった。
魔法具が転移を始め既に稟以外の者は光に包まれ消えかけている。
また稟も半分以上包まれ声も途切れ途切れでしか聞こえない。
だけどセージには稟の口から最後の言葉が確かに聞こえた気がした。
「………だよ」
「稟さ…っ!?」
思わず駆けだそうと足を踏み入れ掴もうとした。
しかしその瞬間に光が弾け魔法具の前には誰も立ってはおらずセージの差し伸べた手は虚空を掴む。
始めからそこには誰も居なかったように黙さんとしており木々を揺らす風の音しか聞こえてこない。
「っ!?」
無言で屋敷の中へと駆けだすセージに、フォーベシー達は声をかける事も追いかける事も出来ずにその背中を見送る事しか出来なかった。
自室に駆け戻ったセージは、勢いよく扉を閉め背中越しにもたれかけて崩れたように床に座る。
大切な人の温もり、声、感触全ては今でも鮮明に思い出せる。
それもいずれその感覚でさえ時間と言う流れに忘れてしまうかもしれない。
だけど、忘れてしまっても確かに彼はここに居た。
それだけは決して忘れない。
そして……ベットの上に置いてある一つの男物のシャツ。
本当は魔法薬を使えば匂いぐらいは簡単に消せた。
だけど、それをしようとはしずについ嘘をついてしまった。
ただの我儘かもしれないけど、彼と愛し合った証であるこの匂いを消す事は出来なかったのだ。
ゆっくりと立ち上がりベットへと近づきシャツを掴み抱きしめた。
「稟さま………うぅ……」
鼻につく匂いと優しい太陽のような匂いが二日前の記憶を鮮明に蘇がえさせる。

(稟さまは私の事を強いって言ってくれましたけど本当は全然弱いんですよ。ただ甘えるのが下手なだけです……本当はずっと……一緒に居たかったです)

切実な思いは叶えられない願いは涙になって流れ落ちる。
悲しみの思いが強ければ強いほど涙は重く濃い。
だけど今だけは、泣かせてほしい。
明日からはきっと笑顔で居られるから。
流れる涙を拭う事もせずセージはシャツをギュッと抱きしめて泣き続けた。
強く抱きしめる衣服が彼であるように……きっとまた彼に稟に会える事と淡い希望を抱いて……

そしてこの数年後に魔王邸に2人の少女がが生まれた。
一人は星のように綺麗笑顔で見た物を癒す、まるで天から舞い降りた天使のような歌声だと魔界中に伝えられた。
そしてもう一つ。
魔王邸に侵入する不逞の輩を悉く葬り去る小さきメイド。
その姿は悪党の中では閃光の右足と語り告げられ恐れられたらしいのだがこれの存在は真かは定かではなかった。

~End~



***後書き***
チクタクのセージアフターエンドっぽい奴です。
ゲームでアイみたく出て来るEDがあればこんなにも苦労しないのに……ネーブルの馬鹿野郎。www
とりあえず、チクタクのセージのEDが不完全燃焼でしたのでこのEDで少し気が楽になりました。
ま、これはこれで微妙なEDですけどね。www
稟とセージの子供も出したかったけど出しようが無かったので出ませんでした。
スマヌ。
一応名前はサルビアかな?と考えてます。
セージの元の語源がサルビアらしいですお。w
セージの名前から何か近い花の名前が無いかと調べたらありました。
設定もちょい考えてみますた。
こう言うのは考えるのが楽しいね。www


※サルビア想像図↓
(画像はかなり適当に描いてます。汗 あくまでこんな風的なキャラで、描き直したがちょっと可愛くなり過ぎた気が…(;´ω`)全然上手くないけどごめんっす。絵はマジで難しいよ)






:名前 サルビア
:性別 女
:種族 ハーフ魔族
:3サイズ 70/53/78
:好きなもの 友達、家族、まだ見ぬ父親、勉強
:嫌いなもの しつこい人、じっとしている事、強要される事
:性格 無口、負けず嫌い、お転婆

:概要
二人の子供と言う前提で描いてますがあまり似てない……ま、ネリネもあまり似てなかったし良いよね?原作も黒髪二人で蒼髪の少女が生まれるってどうよ?
ネリネとは逆に発育は悪くた方が良いかなっと考えました。
髪もツインテールにしようかと思いましたがなんかリムと似そうで没。
セージと似たような髪型にしました。
服装は動きやすいものメインで選ぶような感じで。上は気しないで良いけど下は大体スパッツか半ズボン系かな?と思ってます。
ネリネとは知り合いにしてるけど、リコリスやプリムラと会ってるかは考えてないっす。
なんかアイの子供のネリネだと病弱ってイメージが湧かないし……そこら辺はあまり考えてないので結構適当です。

【サルビア】※設定は結構変わるかも?苦笑

稟とセージの子供…が、当時では門が人間界と繋がっては居ない為人間との子供は色々と問題がでてしまう。
そのため魔王の力で純粋な魔族として架空の情報で登録され、父親も架空の存在を当てられている。
しかし稟同様で感が鋭い。
セージも時が来たら教えようとは思っているのだがサルビア独自で調べたりしており大体の情報は知ってる模様。
会いたいくせに行こうとしないセージに若干呆れ気味。
自分の境遇は察しており今は大人しくしてるがいずれ人間界に行き父親に会いに行く事を密かに計画中……

目つきが若干きつく口数は多くないが人見知りはなく基本的な礼儀は心得ている。
見た目とは裏腹で結構な考えなしのお転婆少女。
微妙な存在な故外出は誰かと一緒でないと駄目と言われているにも関わらず我慢が出来ないのか度々一人で屋敷を脱走、セージが激走して捕まえるのだが年々サルビアの力と知恵が膨らみ一筋縄ではいかないようだ……
最近ではイリュージョン(認識阻害の魔法)を使い逃げる為見つける事すら厳しくなっているが暗くなる前にはちゃんと屋敷には戻っては来るのでセージ以外はいたって呑気。
セージ同様…いやそれ以上に発育が悪く背やプロポーションが幼いが本人はセージほど気にしてはいない。
むしろ動きやすくて好きだという。

魔力も高く同時期に生まれたネリネと同等の魔力を秘めているらしい。
得意の魔法は風と雷で必殺は母親譲りのサンダ―キック。
以外に負けず嫌いで昔見た事があるセージの一撃命奪スピニングサンダ―キックに対抗心を燃やし更に上に行く技を身につけようと日々奮闘中…実験台にされているバーグは毎回黒焦げになってる事はもはや魔王邸の名物である。
小柄な分スピードも速く力が弱い分は魔力で補っているので、見た目で判断すると一瞬で黒焦げにされる。
一応メイドであるセージの教育を一心に受けているのでメイドの心得、相手を敬う事は出来るが親しい人以外は全くと言っていいほど愛想が無い為、かなりさばさばした態度になっている。
ネリネとは仲が良くリンちゃん、ルアちゃんと呼びあっている。
ちなみにネリネがサルビアの事をビアとあだ名を付けなかったのは可愛くないからと言う理由らしい。

~サルビアの意味~
Salvia(サルビア)は、ラテン語の 「salvare(治療)」「salveo(健康)」 が語源とされており、 この種の植物は薬用になるものが多い。
フランス語のsaugeを経て転訛したものである。
花言葉は燃える心、尊敬、知恵、家族愛、恋情






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