晴天の大空。
実に清々しい陽気だ。
俺はある場所へ赴きゆっくりとチャイムを押した。
ぴんぽーんと馴染みの音が鳴り玄関が勢いよく開き聞きなれた元気な声が聞こえてきた。
「ハニーいらっしゃいなの♪さ、入って入って」
「お、おい。そんなに、押すなって」
「だって、約束の日からずっと楽しみに待ってたんだもん」
とびっきりの笑顔で俺の背中を押しながら玄関を潜らせる。
そう俺は、765プロ所属のアイドル星井美希に誘われ彼女の自宅へと訪れていたのだった。
ことの経由は数日前に遡る…


「ただいまなの~~~♪ね、ハニーお願いがあるの~。聞いてくれる?」
事務所でパソコンと睨めっこしならが仕事を黙々とこなしてる俺に、帰ってきた美希は元気よく声を上げて背中に勢い良く抱きついてきた。
力一杯抱きつかれとても1○才とは思えない胸が背中に押しつぶされ思わずドキリとする。
自分よりも遥かに年下の少女に翻弄されるものかと大人の威厳の為に平静を装い返事をする。
「お願いってなにをだ?」
「うん、来週の日曜日美希の家に遊びに来て欲しいの」
「遊びにって……美希の家にか?」
「そうだよ。丁度その日はパパとママが居なくて家で美希一人で退屈なの~。だからハニーが来てくれれば美希、色々とサービスするの♪」
「色々か……」
「うん色々。泊まりに来てくれるよね?」
背中から抱きつかれたまま耳ともで甘く囁かれ胸の感触と重なり思わずいけない妄想が浮かび、頷きそうになるがもち前の精神力で何とか抑えこんだ。
「ごほん!……と、泊まりは流石にまずいだろう。俺と美希はアイドルとプロデューサーだぞ?自宅に行って週刊誌に撮られたらどうするんだ。せめて日帰りにしなさい」
俺の断りの返答にご機嫌な美希の声は一気に不貞腐れた声になり愚図った声を上げ始めた。
「ぶ~~。またそんな事言うのー。そんなの美希には関係ないもん!!……もういいよ、泊まりに来てくれないなら美希アイドル辞めちゃうから、社長に言ってくるね」
踵を返し本気で事務室を出ていこうとする美希の手を慌てて握り止めた。
「ちょ、ちょっと待て!?そ、それはやめてくれ」
「…じゃ、泊まりに来てくれる?」
「うっ…そ、それは……泊まりじゃなければ……」
「じゃ、良いの。社長に言って来るね」
「だぁ!!!待て待て待て!!わ、分かったよ。泊まりに行くから頼むからやめてくれ……」
「うん、それなら待ってるね♪」


と、まぁー半分強制的に誘われた俺は今に至る訳である。
ま、確かに最近は忙しくて美希とまともに話もしてなかったし遊びにも行ってないから多少無理をして休暇を取ったのだが美希が喜んでいるならば俺としては嬉しい事でもある。
そのままスキップでもしそうなぐらい喜ぶ美希に連れられるままに自室へ案内された。
小物などは少ないが白とピンクの模様を催しているカーテンやベットなどは微かな可愛さを醸しだしておりどこか美希らしい部屋だった。
「どう、ハニー。ここが美希の部屋だよ」
「ああ、そうだな」
「どうしたの?何か変かな」
「いや、変じゃないよ。美希らしくて良い部屋なんじゃないか」
「えへ。ハニーが喜んでくれたなら美希嬉しいの」
褒められて嬉しいのか美希はにっこりと笑みを浮かべて俺の胸へと抱きついてきた。
「おっと、どうした」
「んーん。何でも無ーい。久々にハニーの匂いを嗅いでるの」
本気で嗅いでるのか時折胸に感じる鼻の動きが妙にこそばゆかった。
「匂いって…そんなに匂うか?」
腕を上げて嗅いでみるがそんなに臭くはないと思う。
やはり女の子は敏感なのだろうか。
気になった俺はシャワーでも浴びた方が良いかと聞くが美希は顔は上げて左右に振った。
「ううん、嫌とかじゃないの。男らしくて美希はハニーの匂い好きだよ……」
「う、うーん。そう言われても自分では良く分からんのだが……ま、俺も美希の匂いは好きだいお互いさまだな」
「そうなの?だったら……今度はハニーが美希の匂いじっくり嗅いでも良いだよ」
「お、おい。美希!?」
今度は首に腕を回し豊満な胸に俺の顔を埋めた。
顔全体に柔らかさと美希の匂いがダイレクトに伝わる。
大きすぎる胸に埋れ若干呼吸がしにくくなりまるで胸に溺れてるような錯覚を覚える。
気持ち良いが苦しい。
天国と地獄を両方味わっていたが、やはり段々と酸欠に陥りそろそろ離して欲しい俺は懸命にもがいた。
「もがもがんが!」
「やん♪ハニー、そんなに暴れたら感じちゃうの」
「んがっ!?」
そう言えば顔に微妙な突起を感じるが……じゃなくて今は離して貰わないとマジで胸で溺死する。
数分の格闘の末どうにか美希の腕から離れ新鮮な空気を吸った。
「ま、マジで死ぬかと思った……」
「もうハニーは大袈裟なの」
「いやいや、本気で昇天するかと思ったからな」
「あはっ♪そうなの~~」
いや、褒めてないし嬉しそうにしないでくれ……
なんだか来てばっかなのに凄く疲れたような気がする。
そんな俺の心の葛藤など知る由もない美希は無邪気に笑っていた。
「えへへ。それじゃ、美希は飲み物でも持ってくるからハニーはここで待っててね」
「そうか、悪いな。俺も何か手伝おうか」
「ううん、良いの。ハニーは座って待ってて直ぐ戻るから……ちゅっ」
頬にキスをされた俺は呆気にとられ一瞬固まっていると美希はそんな俺を見て小さく笑い部屋を出ていった。
あいつ……
頬を触り先程の感触を思い出すと思わず口元が緩みにやけてくるのを分かった。


しかし、ただ待つだけな俺は流石に暇を持て余しいけないと思いつつゆっくりと辺りを見渡した。
女の子の部屋に来たのは生れて初めてだったが、やはり男の部屋とか何処か違う。
雰囲気もそうだが、匂いも何処となく甘く感じる。
抱きつかれた時に微かに香る美希と同じ香りで始めて訪れる部屋にも関わらず妙に落ち着いた。
そして壁に掛けられているボードに目が止まり足を運ぶ。
「これは……学校の写真か。こっちは、クラスの友達かな」
自分が見てきた美希とは何処か違う雰囲気を感じて嬉しいような寂しいような気持ちになった。
俺もまだまだ美希の事で知らない事が多いんだな……出会ってから随分と経ってるのに。
ふっと小さく笑うと急にブルっと体が震え尿意を感じた。
美希は、まだ来ないか………今の内にすましておくかな。
ひとまず部屋を出て辺りを見渡す。
この家に来るのは初めてだが部屋の配置などはあまり他の家と大差は無いだろうから二階にもトイレがあるだろう。
大凡の感で探す事約数十秒、案の定階段の脇にある扉にトイレを見つけ中に入り便座に座り用を済ませる。
すると、ギシギシと階段を上がる音が聞こえてきた。
階段と隣接してるせいか良く聞こえる。
この家には俺と美希しかおらず他の人はいない筈だ。
それならば部屋に向かうだろうと思いゆっくりとしてると足音は何故かトイレの前で止まった。
一瞬、可笑しいなと脳裏に過り扉の前の人物に話しかけようと声を上げようとした。
しかし、それよりも先に“がちゃ…”とドアノブが回され金属的な音を鳴らす。
あ、しまっ!?…鍵をかけてなかった!!
そう、普段から一人暮らしに慣れている俺はトイレなどで鍵をかけるなどと言う習慣はなく美希の家に来ていると言う緊張感と嬉しさで注意力が散漫していた。
“親しき仲にも礼儀あり”いくら美希とはいえこんな恰好見られて良い訳が無い。
俺は慌ててノブに手を伸ばし開けられるのを阻止しようと試みるがしかし悲しいかな。
便座からドアまでは僅かに遠く手が届かなかった。
そして、なお且つバランスを崩した俺は前のめりになりそのまま床に倒れ大きな音が鳴った。
「何?大きい音が…だ、大丈…ぶ……って、え、あれ、貴方は……」
「痛っ……ごめん美希。我慢が出来なくて勝手に借り…てって…あれ?美希……じゃない」
体を起こし顔上げると、そこに立っていたのは美希ではなく見知らぬ女性だった。
前髪をきっちりと揃え、後ろは短く一束に纏め下げたスーツ姿の女性は何処か美希に似ており大人の印象を受けた。
この人何処かで……
そんな悠長な事を考えていると女性の視線がフルオープンだった俺の下半身に目が止まり固まった。
その視線に気づいた俺は慌てて起き上がりズボンを履いた。
まだ、したのが小だったのがマシだった……いや、今はそんな事考えてる場合じゃないって。
唖然としている女性にどうにか説明しようと近寄るとビクッと震えたのが分かった。
その直後に女性からの大音量の悲鳴が家中に響いた。

「き、きゃあああああああああああ!!へ、変態がトイレに!!!」
「ち、ちょっと待て下さい。俺は変質者じゃ……」

しかし女性は俺の声など聞く耳を持たず手を振り上げそして…

「こ、来ないで!!」

ばちん!!

頬を叩く大きな音が響き俺の意識は一瞬で吹き飛び後ろのめりに倒れた。
薄れゆく意識の中、騒動に気付いた美希が慌てて階段を駆け上ってきたのが見えた。
「ど、どうしたの!あ。お、お姉ちゃん何で家にいるの?」
お、お姉…ちゃん?
「み、美希。と、トイレに変質者が……」
「え…ハニー?なんでトイレで寝てるの?」
それは俺が聞きた……い。ガクッ

「ん……ここは」
目を覚ますと見慣れない白い天井が見えた。
朦朧とする頭を振り身を起こすとズキリと頬が痛み顔を顰める。
「痛っ……」
頬を触ると布のような感触と何処か冷たい感触を頬に感じてきた。
「それはまだ取らない方が良いですよ」
え?…誰だ。
聞き慣れない声に横を向けるとそこには心配そうにみつめる美希と見慣れない人…いや、徐々に意識がはっきりしてくると少しづつ思いしてきた。
確かトイレで会った人だった。
「貴方はさっきの?」
「は、はい。美希の姉で星井菜緒って言います。先程はとんだ粗相を……申し訳ありませんでした」
行儀正しく自己紹介する美希のお姉さんは申し訳なさそうに頭を下げてきた。
何で謝罪されるのか全く覚えが無い俺は首を傾げると美希が隣に座り話す。
「ハニーは、お姉ちゃんに叩かれて気絶したんだよ。覚えてない?」
「気絶…叩かれ…」
頭の中で当時の事を必死に思いだし必死に記憶を辿る。
「……あ、そうか。俺、倒れたんだな」
「うん。ね、痛くない?」
痛いです、凄く。
心配そうに見つめる美希に思わず本音が漏れそうだった。
しかし、乱暴を働き気絶までさせてしまった事に表情を曇らせ罰が悪そうに俯く菜緒さんが気になりそれも口に出来ずとりあえず虚勢を張る事にした。
「大丈夫さ。これぐらいなんでもな……いたたたたたたたたた!美希何で抓る!!」
「ぶ~、だってハニーやせ我慢してるんだもん。本当はまだ痛いんでしょう」
「そ、それは……」
「叩いたお姉ちゃんが一番悪いんだから気にしないでも良いの」
美希の言葉に益々縮こまってしまう菜緒さん。
ああ~~、言わんこっちゃない。
菜緒さんに聞こえないように小声で美希に話しかける。
「おい、美希。あまりはっきり言うな。菜緒さん気にしてるだろう?」
「なんで、ハニーがお姉ちゃんにそこまで気を使うの?」
俺は当然の事を言ってる筈なのだが対する美希は何処か責めるような目を向けてきた。
「何でって…普通だろう?別に他意は無し鍵をしなかった俺も悪いんだから」
「プロデューサーさん……優しんですね」
美希のような無邪気で元気な笑顔とは違い大人のような綺麗な微笑みに思わず照れてしまう。
「いや、そんな事は………っていたたたたたた。美希!?頬を抓るのは止めろって!!」
「ぶー!!お姉ちゃんにデレデレしてるんだもん!!ハニーは美希の事だけ見てれば良いの!!!」
瞳に涙を溢れさせこんなにも切実に叫ぶ美希を始めて見る俺は困惑していた。
「お、おいそんなに怒る事はないだろう?」
「だって、ハニーは美希のだもん。本当は美希以外の人に優しくしてる所なんて見たくないだもん」
「少しは落ちつけ。俺は……」
「もう、ハニーの馬鹿!お姉ちゃんがそんなに良いならお姉ちゃんと付き合ったら良いんだよ!!」
「あ!待て、美希!?」
爆発する気持ちは溢れ留まらず美希の口から洩れ手を伸ばすが今一歩届かずそのまま部屋を出ていってしまった。
部屋には呆然とした俺と菜緒さんだけが取り残されていた。
俺達の間には沈黙が流れ、頭を掻き軽くため息を吐いて腰を上げた。
「……俺、美希を探してきます」
「あ、だったら私も…原因は私にもありますし」
腰を上げる菜緒さんに俺は押しとどめた。
「良いですよ。多分菜緒さんが行ったら余計美希が癇癪起こすでしょうし一人で探しますから」
「プロデューサーさん……美希の事、良く分かってるんですね」
「ま、美希とはデビューからの付き合いですからね。それに……美希はなんか危なっかしくて放っておけないんですよ。何時も見ていないと何かしそうで」
俺は照れ臭そうに頭を掻いた。
「本当に…美希の事が好きなんですね」
「……はい。大切なアイドルで俺の彼女ですから」
「それじゃ、早く言ってあげて下さい。あの子今頃、途方に暮れてるいるでしょうから」
「分かってますよ」
菜緒さんに一礼をしそのまま外に出て辺りを見渡すがやはり美希の姿はない。
さてと、あのお転婆娘をどうやって探すかね。

そうして、ひたすら走り通りすがりの人に聞きながら探す事、約一時間弱。
空も赤く染まり徐々に西日が落ちて暗がりが浮かび上がる頃、美希の家から少し離れた大きな公園の並木道に並ぶように備え付けてある木彫りのベンチに美希が座っているのが見つかった。
落ち込んでいるから遠目からでも分かるぐらい椅子に腰かけ項垂れていた。
「美希」
傍まで寄り声をかけるが反応が無く無言だった。
「隣…座って良いか?」
小さくコクッと頷いたのを見て俺は美希の隣に座る。
「菜緒さん、心配してたぞ。急に出ていくから」
「…お姉ちゃんなんて知らないもん」
「美希……なんでそこまで菜緒さんを毛嫌いするんだ。仲が悪いのか?」
「そんな事はないけど……」
「前、町で菜緒さんを見かけて聞いた時も妙に対抗意識していたよな……何でだ?」
「それは………ハニーがデレデレしてるから」
「何?」
美希の言葉の思い返すが俺にはそんな気は全くなかった。
「気のせいだろう。別に俺はデレデレなんてしてないぞ」
「嘘。お姉ちゃんの顔見て嬉しそうに笑ってた。隠しても無駄だよ、ハニーの事ならなんでも分かるんだから」
頬を膨らませてむくれている美希は一向に俺の顔を見ようとはしなかった。
確かにあれだけ綺麗な人だし、見とれていたのは事実だけど俺は………
「美希」
「いや、帰らな……ん!?」
いじける、美希の頬に手を当て顔を強引に向かせ強引に唇を重ねた。
目を見開き驚きの表情を浮かべそのままゆっくりと離れる。
「は、ハニー…?」
「美希が帰りたくないなら俺もここに居るよ。今日は美希と一緒に居るって約束だしな。それに美希が気づいてない事がある………俺が一番好きなのはこれからもずっと美希だけだよ」
少し歯の浮く言葉だがこれには嘘偽りはなく絶対に変わらない。
「……本当に?」
「ああ、誓っても良い」
「お姉ちゃんよりも?」
「当り前だろう。確かに綺麗な人だと思うけど、美希だって大人になれば綺麗になる。それに、こうやって抱きしめたいって思うのも美希だけだしな」
少し力を入れたら壊れそうなぐらい華奢な体を出来る限り優しくそして力を込めて胸に抱きしめる。
やっと機嫌が直ったのか、笑みを浮かべて俺の背中に腕を回してきた。
「うん……ハニー怒ってごめんね」
「良いさ。美希を不安にした俺も悪いし気にするな」
「ハニー……好きだよ」
「俺もだよ、美希」
栗色の髪を梳かすように撫で思いを伝えると先程の不機嫌な顔なんか微塵も感じない柔らかい笑みを浮かべていた。
「えへへっ。ハニーの手、大きくて暖かくて好き」
「そうか?」
「もっと撫でて」
「分かったよ」
そのまま美希の要望に答え胸に抱きしめながら撫でる。
“あふっ~”と何時もの口癖を甘えた声で鳴く。
最初は微笑ましく可愛く思えていたが、一向に俺の体に腕を回したまま離さない美希の甘い温もりと感触に俺の中で別の感情が湧きでてきていた。
「その……美希。そろそろ離れないか」
「やなの。もっとハニーエレルギーを充電するの。じゃないと家には帰らないの」
なんだそのエレルギー?どっかのギャルゲーの台詞か?
いや、そんな事はどうでも良いんだけど俺の理性も限界が……
どうにか理由を付けて、離せられないか試行錯誤をするが美希の事と付き合いが長い分この甘え状態の美希を説得出来る事は無理なのが分かっていた。
これはやはり俺が我慢するしかないのか……せめて美希にばれないようにしないと。
しかし、隠し事と言うのは意図すれば分かりやすくなりバレ安いものだ。
付き合いが長いと特に。
「……ハニー?どうしたの。何かもじもじしてる」
「え!?そ、そんな事はないぞ」
実は興奮してますなんて言えません。
「あ、ハニー…まさか」
「うっ」
にやりと意地悪く微笑まれ視線を逸らす。
しかし、顔を赤らめてそっぽを向いていては分かりやす過ぎるだろう。
少なくても美希にとってはこの反応だけで照れ隠しであると十分すぎるだろう。
「いけない気分になったの?」
「そ、それは……お、おい」
「あ、やっぱり大きくなってる。ハニーのH」
少女とは思えない大人っぽい色気のある目で見つめられその視線から俺は逃げられなかった。
「……すまん」
「なんで、謝るの?」
「いやだって、美希は俺に撫でて欲しかっただけだろう?こんな劣情抱いてたら嫌だろう」
しかし、俺の問いに美希は首を横に振り否定する。
「そんな事無いの。美希はハニーに触れられるのが好き……だからハニーがしたいなら良いよ」
「い、良いって?」
「だから……」
俺の手を握りその豊満な胸に触れされる。
大の大人の手でも有り余る胸は触れるだけで形を変えてマシュマロのような柔らかい感触が掌全体に伝わる。
「美希の事好きにしても良いの。ハニーは美希のものだけど美希もハニーのものだから……しよ」
公衆の面前である公園での卑猥な行為。
人してそしてアイドルである美希と外でするわけにはいかない。
だけど、俺の理性は限界でそして好きな女の子からこんな甘い声で誘われて事われるほど人として出来てはいなかった。
美希の手を握りとりあえず、人気につかない雑木林の奥に移動する。
日も暮れ始め、木々が生い茂り薄暗いここでは人の目につく事はほとんどないはずだ。
「美希、キスして良いか?」
「うん。して、一杯欲しいの」
貪るように互いの唇を奪い舌を絡める。
粘着質な音が響き頭の中まで聞こえてくる。
「んちゅ…ハニー口の周りべとべとなの」
「そう言う美希もべとべとだぞ」
「あはっ。一緒だね」
「ふふっ、そうだな。一緒だ」
互いに笑みを零し手と手を触れあう。
伝わるのは温もりだけではない、互いの深い愛情と信頼。
そして、愛する人をもっと感じたいと求める願望。
「ハニー、して…美希もう限界なの」
「ああ、俺も入れたい」
服を脱ぐのも惜しい俺はチャックを開けて中から肉棒を取り出した。
固く充血した肉棒はまるで飢えてる獣のようにカウパー液を出しピクピクと震えていた。
美希のスカートから手を忍ばせ下着を下す。
「入れるぞ」
「うん来てなの…っ」
熱く群れた膣内は亀頭を入れただけでギュギュと締め上げ俺と言う異物の侵入を喜んでいるようだった。
進むにつれてペニスが擦れ絶え間ない快楽が伝わる。
「くっ、美希の膣熱くて凄いぞ」
「ん…美希も、ハニーの……はぁ、あ、熱くてとっても気持ち良い……の」

熱い視線を向ける美希の頬を撫でゆったりとしたストロークで腰を動かす。
それだけで直ぐに達してしまいそうだった。
「ん、はぁ…あ!良いの。もっと、あ…ハニー……もっと、頂戴。もっと欲しいの!」
「美希……っ」
懇願する美希に答えるように徐々に早さを増していく。
にちゃにちゃと言う厭らしい音が辺りに響き、美希の美しい歌声が木霊す。
「っ…馬鹿。そんな大きな声上げたら…く、ひ、人に聞かれるぞ」
「ん!そうだけど我慢できないの。ハニーの気持ち良くて美希それだけで、いっちゃいそうなの」
「しょうがない奴だな……んっ」
「ちゅ、くちゅ…はぁ」
せめて声は抑えるように唇を重ねながら腰を打ちつける。
だが、口づけの行為が美希の興奮を更に煽ったのか膣内の圧迫感が強まり暴れまわるペニスをまるで食いちぎらんとするかのように強く締め上げる。
何時までもこの快楽を感じていたい気持ちと、直ぐに美希の膣に全てを吐きだしたい気持ちが鬩ぎ合い腰の動きを強める。
だが絶え間なく刺激してくる美希の感触に限界は直ぐにやってきた。
「美希、もう俺…限界だ。外に出すぞ」
「だ、ダメなの。膣内に頂戴、ハニーの一杯」
「そ、それは流石に……っ急にしまって」
このままじゃ膣内に……くっ、ダメだ腰が止まらない。
快楽を求めて体を動かす欲望は今更止まらなかった。
最後の理性を振り絞り限界を超える前に膣内から離れようとするが何故かギリギリの所で引っかかり抜けない。
そのまま注挿を繰り返す事で射精感が尿道を伝わりこみ上げてくる。
「ダメだ。美希、緩めてくれこのままじゃ……」
「ダメ、離れちゃ嫌なの!ハニーは美希とずっと一緒に居るの!ハニーの赤ちゃん美希に頂戴!!」
決して離れないようにギュッと抱きしめられ震える体を懇願をされ無意識に俺も美希の体を強く抱きしめる。
愛する人の願いを断る事など出来る筈がない。
俺だって美希の膣内に沢山出したいんだからな!!
そのまま限界を超えたペニスは、どくどくと白濁液を美希の膣に吐きだしていく。
どれ程、射精をしたのだろうか……自分でも信じられないぐらいの量を美希の中に吐きだし縮んだペニスをずるりと抜く。
愛液で光沢を出すペニスと美希の膣口からどろりと精液が垂れてきていた。
「こんなに出して……どうなっても知らないぞ」
美希のおでこに自分の額をくっつけ思わず愚痴る。
「だって…ハニーの欲しかったんだもん。Hだってするのも久しぶりだしそれに……ハニーが美希の事好きだって言ってくれた時からもう欲しくて疼いちゃってたの。ハニーは美希とずっと一緒に居てくれないの?」
すこし寂しそうに見つめてくる美希に俺は恥ずかしくなりそっぽを向く。
この目はずるい。
俺にとっては、この世のどんなものより抗えない魔性の魅惑を秘めている。
「そうだな……何かあっても、俺が責任取るから良いか」
「ううっ……ハニ~~~♪」
「うわぁ!?そんなに強く抱きつくなって!!」
気分屋で甘え癖な小動物のような愛らしい俺のアイドル。
きっとこれからも美希には翻弄される事だろう。
だが、それでも幸せと言える。
美希と一緒に居る事が、俺にとっての最高の幸福だから。

鳥のさえずりが聞こえる早朝の頃。
美希の家に訪れて以降彼女が更に俺に甘えてくるようになり前よりも距離が近く親密になった気がして嬉しくもあり大変な日々を相変わらず送っていた。
朝食を食べて自宅のリビングでソファーに座り新聞を読みながら珈琲を片手にゆったりとしているとある記事に目が止まり飲んでいた珈琲を盛大に吹き出してしまった。

「ぶー!!!!!!!!!こ、これは……」

“某公園に男女の幽霊が出現!?水をうつような不気味な音を聞き、通りすがりの通行人逃げ出す!!”

新聞の載っている写真。
暗く映りが若干悪いが新聞に載っている公園の名前と写真を見て俺には分かってしまった。
こ、これはあの時の公園じゃないか…それに、これはどうみても俺と美希か?
よもや写真に収められているとは知らなかった俺は朝一番から冷汗が浮かび上がっていた。
そして、この後数カ月間。ばれてないか気が気でなくTVで幽霊の特番を毎回チェックしていたのは言うまでもない。
外でするのは今後は絶対に控えようと心に誓った瞬間だった。

~End~



***後書き***
美希の姉を出したくて書いたSSです。
本当は小ネタ用に随分前に書いてたのですがラスト付近で旨い具合に書けずお蔵入りにしていたものでもあります。
なんとか無事に完成出来て良かったです。
エロありですが、嫉妬心むき出しの美希に萌えてニヤニヤ出来たら嬉しい限りです。
美希はやっぱり可愛い娘ですよ。






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